TKWO――音楽とともにある人生♪ ホルン・堀 風翔さん Vol.3

楽団の和やかな雰囲気づくりに努めつつ、より優れた演奏を披露するため、堀風翔さんはホルン奏者として技能を磨くことに余念がない。最終回では、堀さんが日々の練習で大事にしていることを聞いた。吹奏楽に取り組む中高生に向けたアドバイスも紹介する。

問題には柔軟に対応する心持ちで

――最高の演奏のために、普段の練習で大事にしていることは?

二つのことを実践しています。同じ楽器を長い期間、演奏し続けていると、これまで上手に吹けていたのに、急にできなくなるといった奏法上の問題にぶつかる時があるのですが、そんな時は焦らず、一つの演奏スタイルに固執せずに、思い切ってこれまでの練習方法を変える、あるいは演奏に対する考え方を変えるようにしています。これが一つ目です。問題が起きても柔軟に対応することを心がけることで、この先、年齢を重ねて行っても、あまり不安を感じずにホルンと向き合っていけるのではないかと思っています。

当然、それだけでは足りなくて、学生の頃からとても単純な音階練習などの基礎練習を欠かさず続けています。これが二つ目です。そうすることで、これまで意識していなかった部分で自分の奏法が変わってしまっていたり、他にも演奏上の新たな問題が生じていたりすることにも気づけます。変化としてはわずかなものかもしれませんが、それが積み重なると、気づいた時には間違った奏法が身についてしまい、修正することがとても困難になる場合があります。プロの奏者として、自分の課題をいち早く発見することは、演奏のクオリティーを上げるためにも、とても重要です。そうした基礎練習をこなした上で、その時々の自分に必要な練習を行うようにしています。

練習ではないのですが、意外に大事だと思うのは「息抜き」です。音楽のことを考えない時間、無心になる時間をつくることでしょうか。あくまで僕の場合ですが、オフの時にどこにも出掛けない時は、例えば家で何もせず、テレビをボーッと観るという時間をつくるだけでもストレスをうまくコントロールでき、不思議と次に吹く時にちゃんとリフレッシュできています。それから、日頃から手洗いやうがいを心がけ、風邪など病気にかからないように体調管理に努めることも当たり前のこととはいえ、やはりとても大事だと思います。

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