開会式での光祥次代会長のスピーチ 国際ムスリム共同体会議から

5月8日、アラブ首長国連邦(UAE)・アブダビ市のホテルで行われた「国際ムスリム共同体会議」の開会式で庭野光祥次代会長がスピーチを行った。以下に、その要旨を紹介する。

開会式でのスピーチ

3月にアリー・アル・ヌアイミー教育・知識庁長官が来日された折、私どもの本部までお越し頂き、この重要な会議にご招待頂きました。その折、UAEには「寛容省」があり、かなり以前から「寛容の教育」が行われていること、多様性を強みの源であると考えているとのお話をお聞きしました。そして2年前アズハルで、中東のムスリム多数派国における少数派の市民権についての会議を開かれたことをお聞きし、大変感銘を受けました。そして今回、この重要な会議でご挨拶の機会を頂きましたことに、心から感謝申し上げます。

記録によりますと、日本にイスラームが到来したのは19世紀の終わり。1980年まで、日本には二つのモスクしかありませんでした。その後、仕事を求めて多くのムスリムが来日した結果、日本のムスリム人口が急激に増え、現在では、日本全国に90以上のマスジド(モスク)とムサラー(一時的な祈りの場所)があるといわれ、日本人ムスリムも増えつつあります。

しかし残念なことに、相次ぐテロ事件の発生により、平和的に生きている日本のムスリムの方々は、イスラームは「過激な宗教」というイメージの中にいます。

少数派の問題の解決は、その多くを多数派の寛容性に委ねられると言われますが、日本の宗教界では、多数派の宗教が少数派を抑圧するというようなことはありません。日本ムスリム協会の前会長・樋口美作先生はこうおっしゃっています。

「日本ムスリム協会は、15年前から日本諸宗教連合体のメンバーとして招致され、宗教対話を通じて年間の諸活動に参画し、相互理解を深めている。この平和的関係は、日本の宗教者の寛容性によるものと確信している。こうした諸宗教対話は日本国内に限らず、今やグローバル化している」

私は今回、日本人ムスリマである河田ヤスミーン先生とご一緒しております。河田先生も日本の諸宗教連合体「世界宗教者平和会議日本委員会」の女性部会のリーダーとして、諸宗教の仲間と一緒に活動されています。