佼成学園・監督対談 女子ハンドボール部石川監督×男子アメリカンフットボール部小林監督 『勝利に導く指導力』(前編)

今夏のインターハイで優勝した佼成学園女子高校ハンドボール部と、昨年末のクリスマスボウルで初優勝を果たした佼成学園高校アメリカンフットボール部「ロータス」。部を率いる石川浩和監督と小林孝至監督は、それぞれ指導者として20年以上のキャリアを持つ。『勝利に導く指導力』をテーマに特別対談を開催し、両監督に話を聞いた。(文中敬称略)

栄冠を手にして

――佼成学園女子高ハンドボール部が、春の選抜大会優勝に続き、夏のインターハイを制しました。おめでとうございます

石川 ありがとうございます。春の大会では目標としていた優勝を果たすことができましたが、夏のインターハイ、秋の国体へと続く通過点だとも考えていました。インターハイに向け、3年生に代わって新たに下級生を主力メンバーに加え、チームを編成しました。

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インターハイで初めて全国大会に出場した選手もいましたが、ディフェンスなどで活躍してくれ、精神的にもチーム全体がたくましくなりました。決勝戦では、相手チームの特長を封じ、理想的な試合運びで優勝することができました。

――佼成学園高校アメリカンフットボール部は昨年末、クリスマスボウルで優勝し、念願の全国制覇を達成しました

小林 3年前の秋、東京都代表として出場した関東大会の決勝で、早稲田学院に僅差(きんさ)で負けました。その時に「3年以内に必ずこの舞台に戻ってこよう」と誓い、日々取り組んできました。

これまで、全国大会決勝への出場経験はありませんでしたが、全校応援の後押しで試合前も全員が緊張せずに臨むことができました。決勝で対戦した関西学院(以下、関学)は、クリスマスボウルに過去24回出場し、18回優勝している名門中の名門チームです。関学は関西地区の準決勝の試合中の事故による仲間の死があって、本当に大変な中を勝ち上がってきていました。ですから、私自身、試合の直前まで〈自分たちも勝ちたいけれど、彼らにも勝たせてあげたい〉という複雑な気持ちでした。

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試合が終わった瞬間は、勝てたことはもちろんですが、関学を相手にやりきれたという思いが強かったですね。同時に、亡くなった関学の選手の思いを忘れてはいけないと身が引き締まりました。うちの選手たちも、相手チームを思いやることの大切さや、本気で試合に臨むことが相手チームの思いに応える誠意だということを学ぶ機会になったと思います。関学と対戦できて光栄でした。

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