【特別インタビュー 第40回庭野平和賞受賞者 ラジャゴパールP.V.氏】 非暴力という希望へ踏み出す「徒歩行進」 互いの宗教を尊重し、課題解決の道を共に

対面で行われた特別インタビュー(普門メディアセンター)

「第40回庭野平和賞」を受賞したインドの平和活動家であるラジャゴパールP.V.氏。マハトマ・ガンディーの非暴力の精神を基に社会活動を展開し、貧しい人々の尊厳と権利を取り戻すため大規模な徒歩行進を先導してきた。4年ぶりに対面で開催された贈呈式出席のため来日したラジャゴパール氏に、公益財団法人・庭野平和財団の庭野浩士理事長がインタビューした。テーマは『非暴力という希望』。虐げられてきた人々と共に歩む中で見えた、平和を築く非暴力の可能性とは――。(文中敬称略)

転機

庭野 ラジャゴパールさんは、マハトマ・ガンディーによるインドの独立運動に関わった父親の影響で、幼少期からガンディーの「非暴力・不服従」の思想に触れたそうですね。

ラジャゴパール 私の父はガンディーと仕事をしたわけではありませんが、ガンディーの思想を支持し、さまざまなプログラムに関わっていました。父の姿を通しガンディーの思想に感銘を受けたことは間違いありません。しかし、ターニングポイントはそこではなかったのです。

1969年、ガンディーの生誕100年を迎え、インド全土で祝賀行事が開かれました。若者向けのエキシビションで、私は、ガンディーの生い立ちや活動について発表することになりました。その中で、参加者からある質問を受けたのです。

「あなた自身は非暴力のための活動をしたことがありますか」

答えは「ノー」。この時、私は、ガンディーについて話す前に行動しなければと強く感じました。

これを機に、インド北部のマディヤ・プラデーシュ州にあるチャンバルという山岳地域に出向いたのです。そこは、ダコイトという武装盗賊団による暴力が蔓延(まんえん)する地域でした。私はガンディー主義者が集団生活をするコミュニティーで平和活動をしていたのですが、ダコイトは、何かを変えようとする私たちを拒み、暴力を向けてきました。私たちは拘束され、殴られもしました。そんな状況でしたが、非暴力の効果を証明しようと、私は動き出しました。

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