一食啓発月間 アフリカへ毛布をおくる運動 日本の思いを届けた最終配付(前編)
「一食(いちじき)を捧げる運動」(一食運動)を推進する「一食啓発月間」が今年も5月1日から実施されている。立正佼成会の各教会では活動を促進する学習会の実施や会員一人ひとりの運動の実践を通して、平和への祈りが深められている。
一食運動は1975年に「節食運動」として始まり、本会の社会・平和活動に位置付けられてきた。スタートから49年目を迎えた今、浄財の使途に関連する国内外の支援情報などを発信する「一食ニュース♡」(LINE公式アカウント)の登録者数が5000人を超えるなど、活動の輪は着実に広がっている。
こうした中、一食運動の浄財が活用されている取り組みの一つ、「アフリカへ毛布をおくる運動」の最終キャンペーン(昨年度)で集められた毛布がアフリカへ届けられ、3月から5月にかけてモザンビークとマラウイの人々に配付されている。前編では、昨年の“アフ毛”キャンペーンに取り組んだ教会の活動状況や会員・外部協力者の声を紹介し、一食運動の意義をかみしめるとともに、毛布の配付と事業視察を通して見えた現地の状況を報告する。
一食運動は、会員が紛争や貧困に苦しむ世界の人々の幸せを願い、月に数回、食事を抜いて献金する取り組みであり、仏教の教えである「同悲・祈り・布施」の精神に基づいている。これまでに一食平和基金から、貧困の解消や災害救援など国内外のさまざまな支援活動に拠出された浄財の総額は、150億円以上に上る。
こうした支援活動の一環として「アフリカへ毛布をおくる運動」は取り組まれてきた。1984年、大干ばつに襲われたエチオピアなどアフリカ各国への緊急支援として、日本で集められた毛布が現地へ届けられた。その後、本会を含む複数団体で構成されるアフリカへ毛布をおくる運動推進委員会(JBAC)が設立され、活動を継続。91年に入ると、ジブチなどで起きた内戦の影響を受ける難民に、99年以降は、大洪水が頻発するマラウイやモザンビークなどの被災者にも毛布が配付された。他にも、生活困窮者や高齢者に毛布を提供するなど、現地のニーズを受け、パートナー団体と協力して、これまでにアフリカなど27カ国で配付されてきた。
一方、国内での運動の啓発や収集も、さまざまな社会情勢の変化に応じて行われてきた。個人や企業など市民社会の協力を受けて集められた毛布の総枚数は、累計で420万枚を超えた。
活動に参加する会員一人ひとりが大切にしてきたのは、「等しく尊いいのちを生きる皆が支え合って、共に幸せになれますように」という平和への願いだ。そうした真心が込められた一枚の毛布が、過酷な環境にいる現地の人の身を守るとともに、地球上の同じ人間として互いに平和な世界を希求するきっかけになる。そこに運動の大きな意義がある。
「アフリカへ毛布をおくる運動」は終了しても、活動の中で培われた「世界の皆が同じ地球に住む家族」との思いは、アフリカをはじめとする国内外における一食運動のあらゆる活動を支える柱として、今後も継承されていく。