「ユニセフ募金」「国連難民募金」「国連WFP募金」 3団体代表が本会の活動への願い語る

未来への希望をつないで

特定非営利活動法人国連WFP協会 事務局長 鈴木邦夫氏

1999年に国連WFP協会が設立される以前から、ローマの本部に直接ご寄付を頂くなど、これまでに2億円を超える献金を頂戴してきました。長年にわたる継続的なご支援に、心より感謝と御礼を申し上げます。

飢餓に苦しむ人々の数は、2014年ごろまで10年以上にわたって減少傾向でしたが、その後に停滞。そして、再び増えはじめ、20年から急増してきています。その原因はコロナ禍ですが、飢餓が増加に転じた大きな要因は紛争や戦争です。

シリアやイエメンなど紛争が続く地域では、住む場所を追われた人々が生活の基盤を失うことで飢餓状態に陥ります。また、コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻の影響も非常に大きく、現在では8億人を超える人々が、毎日安心して物を食べられない状態にあり、より一層の支援に取り組まないと、飢餓人口はさらに増え続けることになるでしょう。こうした窮状を食い止めるため、今が非常に厳しいポイントであることは確かです。

学校給食支援によって食事を摂るミャンマーの子どもたち(©WFP/Nok Tun)

国連WFPでは『SAVING LIVES CHANGING LIVES(飢餓から救う。未来を救う。)』をスローガンに掲げ、飢餓に苦しむ人々への緊急支援と、安定した生活を送れるようになるための自立支援を行っています。その中で、皆さまからの浄財は、自立支援の取り組みであるミャンマーでの学校給食支援に活用させて頂いています。

ミャンマーをはじめとする開発途上国では、子どもは貴重な労働力とみなされ、学校に通わせてもらえない子が少なくありません。学校に行かないと公用語のビルマ語(ミャンマー語)を学べず、大人になっても読み書きができないために安定した仕事に就けず、社会から取り残されてしまいます。しかし、学校の給食で一日の摂取カロリーの大部分を得られるとなれば、親は子どもを学校に送り出す理由になります。子どもたちは給食で栄養状態が改善され、かつ教育も受けられるようになることで、社会に出ていくための基礎的な知識や学力を身につけられ、将来の夢を抱いて、自立した人生を送ることができるようになるのです。実際、給食を提供するようになった学校では就学率が格段に上がりました。

国連WFP協会の事務所(神奈川・横浜市)を訪れ、飢えに苦しむ世界の現状について学びを深めた本会佐倉教会の少年部員たち。同教会では20年以上にわたって国連WFPへの支援を続けている(2013年)

支援を受ける人は、“物”を受け取るだけでなく、そこに込められた支援者の思いや「自分たちは見捨てられていない」という希望を感じ取っています。特に、信仰を持つ立正佼成会の皆さまは、世界で苦難に直面している人を助けたい、未来への希望を共有してつながりたいという思いを強く持って、苦境に陥っている人々のために力を尽くされているように感じます。そうした皆さまの温かい心を現地の人々に伝えていくことが私たちの役割です。

子どもたちへの学校給食支援は、次の世代に未来への希望や思いをつなげていく重要な活動です。昨年ミャンマーでは約20万人の子どもたちに学校給食を提供しましたが、今年は、50万人の支援を考えております。ご要望を頂ければ、いつでも全国各地に足を運び、飢餓の現状や国連WFPの取り組みについてお伝えさせて頂きます。物だけでなく、気持ちを伝えていくこの活動を引き続き、皆さまと共に取り組んでいければと願っています。