「ユニセフ募金」「国連難民募金」「国連WFP募金」 3団体代表が本会の活動への願い語る

自立心育む支援に感謝

特定非営利活動法人国連UNHCR協会 事務局長 川合雅幸氏

約1億人――これは、ウクライナ侵攻はじめ世界の紛争や迫害などで故郷を追われた人の数で、その多くは女性や子どもです。教育、医療、衛生環境などに課題を抱えながら、難民や国内避難民は安心した生活を求めて日々を過ごしています。

彼らに手を差し伸べ、命を守り、自立まで支援するのがUNHCRです。1950年に創設され、現在は世界137カ国で活動しています。人道危機の発生時には、緊急支援チームが72時間以内に現場へと駆けつけ、食料、住居、医療などを提供します。また、難民問題について包括的に伝える「グローバル・レポート」の発刊なども行っています。

立正佼成会の皆さまには長年にわたり、真心の込められた2億円を超える献金を頂戴(ちょうだい)しています。シリアやイラクなど多くの国での活動を支えて頂き、最近ではロヒンギャ難民、ウクライナ難民・国内避難民の支援に多大なご協力を頂きました。改めて御礼を申し上げます。

バングラデシュにあるロヒンギャ難民キャンプのラーニングセンターで学ぶ小学生たち(©UNHCR)

私は昨年8月、2018年からバングラデシュで立正佼成会の皆さまと共に実施する「ロヒンギャ難民緊急支援事業」の現場を訪れました。ここで暮らす人々は、6年前にミャンマー国軍から凄惨(せいさん)な暴力を受けて逃れてきました。家族を失った人も多く、今も心と体に傷を抱えながら懸命に生きています。

当初、人々は周囲の木を伐採して燃料にしていました。キャンプのあるコックスバザール県はサイクロンが多発する地域です。雨季になると、乱伐で脆弱(ぜいじゃく)になった地盤が崩れて洪水や地滑りが頻発していました。

これを改善するため、UNHCRではLPガスボンベと調理用コンロを配布するとともに、600ヘクタールの土地に植林しました。現在、驚くほど緑が回復し、雨季でも以前より心配なく暮らせるようになりました。

温かな支援に応えるように、難民の若者が中心となり、新型コロナウイルスワクチン接種や手洗いといった衛生面の重要性などをキャンプ内で伝える姿に胸が熱くなりました。自分たちで状況を改善し、未来を切り開こうという熱意、自立心が育まれたのは、皆さまの長年にわたるご支援のおかげです。

小湊教会で受け入れられるインドシナ難民(1977年)。本会とUNHCRの関わりはこの時から続いている

2018年、世界が一つとなり難民保護を促進する国際的な指針「難民に関するグローバル・コンパクト」が国連総会で採択されました。19年に続いて、今年12月にスイスで開催予定の第2回「グローバル難民フォーラム」では、日本が共同議長国を務めます。今、社会全体での難民の受け入れが強く求められています。

街頭募金を通した皆さまのご支援は、こうした世界の動きを後押しする素晴らしい活動です。その支援先として、国連UNHCR協会を加えて頂けることを光栄に思います。世界から難民がいなくなる日が来るまで、共に支援を続けていきましょう。

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