「ユニセフ募金」「国連難民募金」「国連WFP募金」 3団体代表が本会の活動への願い語る

立正佼成会が青年部を中心に長年取り組んできた「一食(いちじき)ユニセフ募金」が、今年度から名称を「ユニセフ募金」に改められた。また、街頭募金の支援先に国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国連世界食糧計画(国連WFP)が加えられた。一食ユニセフ募金は1979年の開始以来、ユニセフ(国連児童基金)を通じて世界の子どもたちを支援してきたが、環境や情勢の変化に対応し、子どもを支援する「ユニセフ募金」、難民を支援する「国連難民募金」、飢餓に苦しむ人を支援する「国連WFP募金」の三つから、個人や教会が募金先を選択できるようになった。3団体の代表者に、現在行っている支援の内容や、本会の募金活動に対する願いを聞いた。

平和を希求する心を力に

公益財団法人日本ユニセフ協会 専務理事 早水研氏

立正佼成会の皆さまからはこれまで、「一食ユニセフ募金」によるご支援を頂いてまいりました。この募金は、自らの食事を抜き、その費用を紛争や貧困に苦しむ世界の人々のために献金する「一食を捧げる運動」に由来するものと伺っています。深い思いやりの心が43年間、一貫して受け継がれてきた重みをかみしめています。

世界には、18歳未満の子どもが23億5367万人います(2023年時点)。ユニセフの支援対象は、その全ての子どもたちです。「子どもの権利条約」を基に、宗教や人種、ハンディキャップなどで差別されず、一人ひとりが平等に権利を得られる世界を実現するため、約190の国と地域で活動しています。

新型コロナウイルス感染症の猛威により、世界各国で医療や教育体制に深刻なダメージが生じています。この影響により、減少傾向にあった子どもの死亡率も再び悪化しかねません。我々はそうした状況が少しでも改善するよう、最も支援が届きにくい地域を最優先に活動を続けています。

シエラレオネでは、ユニセフと同国諸宗教評議会が連携し、全国規模の保健キャンペーンを実施した (©UNICEF/UNI185560/Mason)

皆さまの浄財によって、近年ではリベリアやシエラレオネなど、国ごとのニーズに応じた支援を展開してきました。ミャンマーでは、軍事衝突のため活動が制限されながらも、宗教指導者が住民と対話し、率先して子どもを守る行動を呼びかけたほか、避難民の子どもたちのケアに尽力しました。

現在はグローバル事業として、ユニセフと世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)が設立した「子ども、家族、コミュニティのための宗教と前向きな行動変容」(FPCC)イニシアチブの活動に役立てられています。世界中の宗教指導者と連携して子どもを保護し、社会や行動の変容を呼びかけるという、非常にユニークな活動です。

FPCCの活動として、コロナ対策のほか、各地域の支援活動を円滑に行うファシリテーターの育成を進めています。感染症の誤った情報を広めないよう、ファシリテーター教育を受けたスタッフの働きかけで、地域の宗教指導者が住民に向け、正しい予防策を発信する活動もあります。今後も「本当に子どもたちのためになるのか」という視点を大切に、その試金石となる活動ができればと考えています。

昨年10月、「一食ユニセフ募金」に取り組む本会和歌山教会の青年部員たち。高野山金剛峯寺(高野町)の参道に立ち、観光客らに協力を呼びかけた

信仰を持つ方のご支援は、利益や損得勘定によらず、教えや理念から自然と湧き出るものだと受けとめています。以前、「青年の日」に行われる街頭募金について、庭野光祥さまとお話をした時のことです。ご支援の御礼を申し上げると、光祥さまから「お礼を言うのはこちらの方です」と思いがけない言葉が返ってきました。募金を通じて、道行く人の仏性を礼拝(らいはい)し、共に世界を変えていくための修行ができて有り難い――皆さまがそんな思いで取り組んでいると知った時の感動を、今も覚えています。

庭野日鑛会長先生や光祥さまは、厳しい生活を送る世界の人々に思いを寄せ、その苦しみを自分事として受けとめる大切さを示されています。これは、我々が支援活動の中で重視する精神そのものなのです。新しいユニセフ募金にも、平和を求める皆さまの心が集まり、子どもたちを誰一人取り残さない支援につながることを願っています。

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