誰一人取り残さない――「持続可能な開発目標」(SDGs) よりよい世界、未来を願い 一人ひとりが継続した取り組みを

ブータンで行われた国連世界食糧計画(国連WFP)の「学校給食プログラム」。本会一食(いちじき)平和基金が協力した(2018年11月)

世界は“私”とつながっている できることから始めてみよう

国や人種、宗教を含めた文化の違いはあっても、人類は大いなるいのちに生かされた兄弟姉妹であり、運命共同体だ。新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、くしくも世界のあらゆる人がつながっていることを改めて明らかにした。変異を繰り返すウイルスの流行を収束させるには、あらゆる人にワクチンを行き渡らせることが不可欠であり、全ての人が協力して共に救い・救われる道を歩んでいくほかないといわれている。また、近年は新たなウイルスによる感染症が次々と発生。人間による野生生物の行き過ぎた利用や自然破壊が要因と指摘されており、自然の恩恵や生物多様性の中で人類が生かされていることを認識する契機にもなっている。

庭野日鑛会長は法話の中で、全人類は地球という船に乗っているとして、「一つの『宇宙船地球号』に乗っている者同士ですから、平和な心を持って、お互いに争うことのない世界を目指していくことが大切です」と繰り返し説いている。さらに、『経典』(青経巻)にある「普回向」の精神に触れ、「『普回向』に『願わくは此(こ)の功德を以(もっ)て 普(あまね)く一切に及ぼし 我等と衆生と 皆共に佛道を成(じょう)ぜん』とあります。この一句は、法華経の菩薩の精神を、とても簡明に表しています。自分が救われれば、それでいいということではなく、人も自分も共に救われていく――それが菩薩の道です」と教示。「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」という宮沢賢治の言葉に「普回向」の精神が表れていると述べている。

今年の「青年の日」は昨年に続き、SDGsの視点を取り入れて活動することになっている。メーンテーマは『大河の一滴になろう。』。社会の中で、個人の行動は小さな“一滴”であっても、やがて世界の平和(大河)につながると確信し、その達成に努めるとの願いが込められている。さらに、一人ひとりが年間を通して世界全体や将来世代のことを考えて生活し、できることからSDGsにつながる行動を実践していく――そうした輪が広がっていくことにも期待が寄せられている。

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