地域の非営利団体に協力する「一食地域貢献プロジェクト」(1) 「成年後見推進ネット これから」(練馬教会が支援)

認知症の高齢者が増加する中、成年後見への期待は高まっている。「成年後見推進ネット これから」は、認知症に関する講演会を開催した

立正佼成会「一食(いちじき)地域貢献プロジェクト」が全国で進められている。これは、「一食を捧げる運動」の浄財の一部を全国各教会が主体的に活用し、地元のニーズに応えて活動する非営利団体への支援を通し、温かな地域づくりに貢献するもの。各教会が支援する団体の活動を紹介する。

NPO法人「成年後見推進ネット これから」(練馬教会が支援)

認知症や障害などにより財産管理や日常生活が困難な高齢者らに、後見人をつけて支える「成年後見制度」。2016年の内閣府の発表によると、65歳以上の高齢者の割合は26.7%で、4人に1人以上が高齢者となる。認知症を発症する高齢者の割合も増加する中、同制度への期待が高まっている。

「成年後見推進ネット これから」は07年の設立以来、「成年後見制度をもっと身近に、もっと利用しやすく」をモットーに、東京・練馬区で、身寄りがない、家族に頼れないといった事情がある人の“安心の老後”を援助してきた。また、制度の普及、啓発を目的に、認知症の講演会や消費者被害に遭わないための学習会、制度利用に関する相談会を実施。介護家族向けの電話相談も行うほか、後見とは何かを気軽に知る機会として区内で週1回、「後見カフェ」も開催している。

成年後見制度には、本人が健全なうちから後見人契約を結ぶ「任意後見」と、判断力の低下で後見人が必要と裁判所が認める「法定後見」がある。弁護士や社会福祉士などのほか、家庭裁判所が認めれば誰でも後見人になれる。昨年、同制度の利用促進法が施行された。

「これから」の理事長であり、社会福祉士として後見人も務める小泉晴子さんは、「以前、私が担当した高齢の女性は重度の認知症を抱えていました。意思の疎通はなくても、心の奥にはご本人の意思があると信じることが大切なんです」と語る。本人が入居する施設に出向く時は、入居前の自宅のたんすにあった衣類から好みの色などを推察し、購入した服を次の面会時に届けるなどしていた。「それでも、相手の方の意思に寄り添えていたかどうかを反省する日々でした」。

誰もが高齢者となり、判断能力が衰える可能性がある。「ちゃんとした後見人がつくことで、老後の不安は大きく減ります。後見人の助けを得て誰もがその人らしく生きられる、そんな温かな地域にしたい」。小泉さんは後見制度の普及に日夜奔走する。