一食運動の浄財がエチオピアで 植林は地域の暮らしを支える原動力

ギジェット村の苗床。1993年の事業開始当時、本会ボランティア隊が初めて植樹した

植樹活動が生む好循環

その後に訪れた同郡のマイタカリ村には、ワザ村の4倍の面積にあたる4800平方メートルの苗床がつくられ、約50人の住人が働いていた。彼らは毎日、ポリタンクを手に約500メートル先の水源まで水をくみに行き、苗床にまく。根気がいる作業を日に何度も繰り返し、8~9種類の苗木を育てている。

22年前からRESTで働く同村の植林事業担当者、ガラジアン・ラディー氏(55)は、「時間はかかりますが、不毛な大地が緑豊かに変わってきています。これも、立正佼成会の皆さんのご支援があるからです。そのことを孫子の代まで伝えたい」と語った。

1997年のサムレ・セハルティ郡の事業地。土肌が見える地域が多い

近年は、植樹の技術を習得し、活動の大切さを肌で感じた住民の中から、自宅の庭先で苗木を栽培する人が出始め、その数は徐々に増えている。一昨年、苗木の総数は30万本を数えたが、このうち、自宅栽培の苗木は6万本に上った。苗木は全てRESTが買い取っており、この費用も一食運動の浄財が活用されている。

また、自宅で栽培した苗木を庭に植えて成長させ、薪(まき)や建材として使う人、収穫した果実を販売する人、飼料作物として牛やヤギなどの家畜に与え、乳製品や肉を市場に出す人も現れ始めたという。RESTによる植樹活動を通して、その技術が地域に広がることで、緑化のスピードを上げるだけでなく、家計の改善といった好循環を生んでいた。

地道な植樹によって自然が回復し、農作物の収穫量も増えて住民の生活も向上している

REST植林事業部の統括部長であるゲタチュー・カリユ氏は、国内の森林面積が国土の15%にまで回復した状況をうれしそうに語った。さらに、RESTの事業地では国際貧困ライン(同団体では『1日1ドル』を採用)以下で生活する人の割合が、10年前の60%から30%に減少したと話し、長年の支援に謝意を表した。

一方、同氏は近年の経済成長に伴う都市と農村との格差、気候変動で雨期が1カ月ほど短くなったことによる降水量の減少を今後の課題として挙げた。植林で農業の生産性が高まり、農村での生活が豊かになれば格差は縮められ、雨の少なさも、用水路や溜(た)め池など灌漑(かんがい)設備の充実化で対応可能とした。その上で、「夢は、植林事業を全国に広げること。まずは今の事業地の貧困をなくさなければ」と意気込んだ。

根本副委員長は、自身が訪問した22年前は山肌が見えていたが、今回、緑にあふれている光景を目にし、「とても感動した」と事業の成果を確認。「エチオピアの人々が復興にかける願いと、日本の私たちの平和への願いが一つになり、長年の合同事業の営みが森を再生し、何ものにも代え難い強固な絆を育んだのだと感じます。まさに、『一食を捧げる運動』による真摯(しんし)で継続的な取り組みは絶対的な信頼を生むことを、この地で改めて確認できた」と笑みを浮かべた。