SNSの時代に宗教はどうあるべきか カトリック教会でシンポジウム

IT企業で執行役員を務める志立正嗣氏

一方、インターネットを活用したメディアの専門家として講演に立った志立氏は、「キリスト教のアメリカ土着化」「ナチス」「米大統領選とフェイクニュース」「IS/イスラム過激主義」を例に、布教・広告・宣伝がいかになされてきたかを紹介した。志立氏は、この四つの事例に限らず、大半の広告や宣伝では、本来ニュース記事を書く際に必須の「5W1H」のスキームが用いられると説明。SNSは情報発信を「どこで行うか」という場所(Where)に相当し、情報発信は、時代に合った最適な“場所”が選ばれると話した。

布教・広告・宣伝が戦略的に行われた上記の事例に触れ、それぞれ手法も説明。「アメリカの土着化」では、書籍や新聞といった当時最も情報が行き渡るチャンネルを使うとともに、集会を開いて、簡潔な内容を何度も繰り返し伝えられた点を挙げた。また、ナチスは新聞、書籍、ラジオなどのマスメディアに加え、人々の情緒に訴えるイベントを活用したとし、現代の光や音を利用した演出の先駆けと語った。

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