エネルギー転換を図るドイツの事例に学ぶ(2) 今後、求められる進路とは

会場で紹介されたドイツのカルカー高速増殖炉。一度も発電せずに閉鎖され、テーマパークとして利用されている

一方、シュラーズ氏は、今後の世界の行方についても触れながら、「ドイツでは現在、エネルギー転換をするかしないかではなく、どの速さでするかに議論が移っている。今後、(世界では)エネルギー効率の高い技術が求められるため、転換が図られないと、ビジネスを含めて将来が厳しいものになると思われているから」とし、国家的なプロジェクトになっていると解説した。その上で、「脱原発」を訴えるだけでは社会は行き詰まってしまうため、社会的責任を有する大人は、再生可能エネルギーの転換による社会全体の未来像を示し、次世代に雇用を生む環境をつくっていくことが重要と指摘。自らが教壇に立つ大学では、学生たちに「地球温暖化、酸性雨、海のプラスチック散乱などたくさんの危機が同時にあるからこそ、あなたたちには新しい経済制度をつくるチャンスがあると話している」と明かした。

 

取材メモ
トークセッションの中で、シュラーズ氏はドイツにも「脱石炭」など、うまくいっていないこともあるとし、「政治を変えるのは難しいこと」と前置きした上で、参集者にこう語り掛けた。「自然エネルギーを買ってください。投資してください。節電してください。投票に行ってください。近所の人に話をしてください。政治家に手紙を書いてください。それぞれが今までやったことのないことをする。それが民主主義ですよね」。

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