「信教の自由」「政教分離の原則」を学ぶ 本会職員対象に憲法学習会

日本国憲法の意義について学びを深める、立正佼成会本部職員対象の憲法学習会(全5回)の第3回が7月4日、本会大聖ホール(東京・杉並区)で行われ、40人が参加した。当日は、「明日の自由を守る若手弁護士の会」(あすわか)で活動する種田和敏弁護士が『憲法20条(基礎編)』をテーマに講義を行った。

種田氏は冒頭、憲法20条が、全ての人の「信教の自由」を保障するとともに、「政教分離の原則」を定めていることを紹介し、「信教の自由」には、信仰の自由、宗教的行為の自由、宗教的結社の自由が含まれていると示した。特に、宗教を信仰する・しない、また、信仰する宗教の選択や変更を個人が任意に決定するといった「信仰の自由」は、「内心の自由」そのものであり、他者が外的行為によって「制限しようがないもの」と語った。

また、種田氏は、戦前の大日本帝国憲法第28条「日本臣民ハ安寧秩序ヲ妨ケス及臣民タルノ義務ニ背カサル限ニ於テ信教ノ自由ヲ有ス」を例示。この条文は一見、「信教の自由」が保障されているように読めるものの、実際には「安寧秩序ヲ妨ケス及臣民タルノ義務ニ背カサル限ニ於テ」という制約が設けられ、国家が制限を恣意(しい)的に利用することが可能で、結果として「大本事件」などの国家による宗教弾圧を招いたと指摘した。こうした歴史を踏まえ、信教の自由を制度面で保障するために、現憲法20条の柱のもう一つに、国家が宗教団体に特権を与えることを禁じ、国家の宗教的中立性を明示する「政教分離の原則」が定められたと解説した。

さらに、「近代憲法の成立過程は、中世に西欧諸国の宗教者が『信教の自由』を求めて権力と闘ってきた歴史と言っても過言ではありません」と説明。布教は「表現の自由」、宗教団体の設立は「結社の自由」に関わるなど、宗教活動は憲法が保障する基本的人権の多くの部分につながっていると語った。