東日本大震災から12年 各教会で追悼の祈り 十三回忌の法要を厳修

石巻教会では式典後に焼香が行われ、参列者は犠牲者に哀悼の思いを捧げた

10日に教会道場と3カ所の地域道場で「『脇祖さまご命日』並びに東日本大震災犠牲者十三回忌法要」を挙行したのは石巻教会。計110人が参集したほか、式典の様子が動画共有サイトでライブ配信された。

法要では石森利江子教会長を導師に読経供養が行われ、会員や縁者636体の戒名が奉読された。亡き家族やサンガ(教えの仲間)への思いをしたためた手紙の朗読に続き、H支部長(66)とN支部長(64)が被災体験を発表した。

H支部長は、車で家族の安否確認に向かう中で津波に遭い、九死に一生を得た体験を詳述。「一度は死んだかもしれない命。二度目の人生は、お役を通していのちを輝かせ、人さまのために生きたい」と語った。N支部長は、発災直後から、会員や近隣住民約100人が避難していた教会道場に泊まり込み、皆で支え合って窮地を乗り越えた当時を述懐。「生きていることは何にも代えられないこと。あの時に支えて頂いた命を生かし、誰かの支えになっていきたい」と述べた。

「結びの言葉」に立った石森教会長は、両支部長の体験発表に言及しながら、災害に備えるとともに、臨機応変に対応する心を育てることが大切と説明。苦に直面しながらも今日まで歩んでこられた原動力は、日々の生活での菩薩行の実践にあると述べ、「仏さまが護(まも)ってくださるということを心に入れ、日々の出来事に感謝の思いを深めながら、人さまにも元気を与えられる私たちにならせて頂きたい」と語った。

原町教会は10日に教会道場で慰霊・復興祈願供養を厳修した。現在も、同教会会員の7割以上が、東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響を受けて包括地域外へ避難する中、式典には教会幹部が参集した。

当日、読経供養が行われ、犠牲となった会員38体の戒名が奉読された。続いて、震災当時からこれまでを振り返り、多くの会員のメッセージを紹介しながら絆を深める映像作品が上映された。あいさつに立った庭野貴市教会長は、ボランティア活動や物資提供を通して犠牲者の冥福を共に祈り、支えてくれた全国の会員に改めて謝意を表し、「遠くの避難先で暮らす仲間にも思いを馳せながら、元気をもって前向きに生きていきましょう」と語りかけた。

庭野教会長は、被災した会員の心に寄り添いながら、全国のサンガの支援に改めて謝意を表した(原町教会提供)

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