名誉教皇ベネディクト十六世の葬儀(海外通信・バチカン支局)

世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会と立正佼成会を代表して、庭野会長は名誉教皇に哀悼の意を表すメッセージを、現教皇に宛てて送った。この中で庭野会長は、「平和な世界を実現するため、ベネディクト十六世聖下は国際的に困難な問題が山積する中、常に生命や家族の重要性を説かれ、愛に満ちた世界の実現を訴えてこられました」と弔意を表明。在任中の2011年には、教皇ヨハネ・パウロ二世の願いを受け継ぎアッシジで「世界平和祈願の日」の集いを開催したことに触れ、「これにより、諸宗教対話・協力の潮流が、さらに強固なものになったことは周知の事実」と述懐した。また、名誉教皇が同年に発生した東日本大震災の被災者に対する共感と励ましのメッセージを送ったことに感謝を伝えた。

2005年、世界の諸宗教代表とバチカンでの教皇就任ミサに参列した庭野会長と握手を交わす教皇ベネディクト十六世

また、庭野会長が05年に世界の諸宗教代表と教皇就任ミサに参列した時、謁見(えっけん)の席上で名誉教皇から、手を握って「平和のために共に働きましょう」と言葉をかけられたことを追憶。いまだ世界では、いのちの尊厳がないがしろにされている状況が続くが、「ベネディクト十六世聖下の願いを心に刻み、諸宗教対話・協力を通して、いのちが大事にされる世界の実現に向け、微力を尽くしていく決意でございます」と誓願した。

葬儀後、現教皇は祭壇上で名誉教皇の棺の上に手を当てて祈りを捧げる「惜別の儀」を行った。その後、名誉教皇の棺は歴代教皇の永眠するサンピエトロ大聖堂地下墓地に向かった。埋葬された場所は、名誉教皇が枢機卿当時に、長年「教理省」の長官として起用した、教皇ヨハネ・パウロ二世の墓地だった場所だ。現在、教皇ヨハネ・パウロ二世の遺体は列福後にサンピエトロ大聖堂内の礼拝堂に移されている。

600年来となる教皇の生前退位、2教皇の共存、1802年(ピオ六世によるピオ七世の葬儀)来となる現教皇による前教皇の葬儀――カトリック教会は、ベネディクト十六世の生前退位によって誘発された、制度化されていない新たな危機状況に挑戦していった。

葬儀に先立つ4日、バチカンと世界のカトリック教会のニュースを伝える「イルシスモグラフォ」は、「論争、躊躇(ちゅうちょ)、困惑、疑問にさらされながらも、カトリック教会は2教皇の共存という危機的状況を本質的には良い方法で克服」し、「教皇フランシスコの生前退位があったとしても、ベネディクト十六世の生前退位時のような衝撃的な事態にはならないだろう」と報じた。その要因として「名誉教皇の人柄と、彼の持つ教会のビジョン」を挙げ、現教皇が名誉教皇と構築した尊敬、情愛、信頼関係によって、解決の糸口を見いだしていったと伝えた。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)