みんなでつくった夏の思い出 各地で多彩な青少年活動 活発に

被爆地・広島を拠点にオンラインで行われた西日本教区の平和学習。西日本各地の青年がつながり、平和について熱い思いを語り合った(「Zoom」の画面)

西日本教区 広島と中継つなぎ、語り合い 平和学習会

『今、語り合い、踏み出す。平和へ向けた確かな一歩』をテーマに、西日本教区の「リモート平和学習Ⅱ(広島Ver.)」(リモ学Ⅱ)が7月31日、ウェブ会議システムを使って行われた。45教会の学生部員約400人が各教会や自宅からオンラインで参集した。

リモ学Ⅱは昨年の沖縄平和学習に続く第2弾。被爆地である広島と青年がつながり、自分の心を振り返りながら平和について真剣に考え、今いる場所から思いやりを発信することが目的だ。

広島市の平和記念公園からの中継で始まった学習会では、NPO法人ヒロシマ宗教協力平和センター(HRCP)メンバーの蜂須賀智子さん(92)が被爆体験を語った。蜂須賀さんは、広島市立第一高等女学校の生徒だった15歳の時、学徒動員中に被爆。原爆によって級友を全員失ったショックから50年以上口をつぐんできたが、HRCPに入り、同じように悲しみを背負った被爆者たちが体験を語り継ぐ姿を見て、勇気を出して自身の言葉で話すようになったと発表した。さらに、今では級友たちがそばで応援してくれているように感じると喜びを吐露し、「現代の青年さんたちは行動も考え方もしっかりしている。皆さんがいれば日本の未来は大丈夫」と参加者を激励した。

広島市内に点在する被爆の実相を伝える「慰霊碑」を巡る映像に続き、『私の常識、本当にじょうしき?』をテーマに海外の学生のインタビュー動画を配信。この中で、米・シカゴに住む高校3年生のハイジ・スフェルクンさんは、第二次世界大戦について、その要因は「人間の貪欲(=とんよく、過度な欲望)」にあると主張した上で、「あの戦争で『善人』と呼べる国はなかった」と語った。また、原爆投下についても言及し、「日本もアメリカも、犠牲になっていい人なんていない」と訴えた。

この後、杉野恭一学林学長との対話の時間が設けられた。

参加者の一人、久留米教会学生部員(15)は、「海外の人も核廃絶への強い思いを持っていることが分かり心強くなりました。一方で、アメリカの軍事費の話などを聞き、平和への道のりの厳しさを痛感したのも事実です。世界中で認識を変えていくためにも、まずは身近な人たちと思いを一つに合わせて行動していくことが大事だと思いました」と感想を話した。

春日部教会 楽しんでSDGsを知り、できることを

学習会では、日本の達成済みの目標や課題などが話し合われた(「Zoom」の画面)

『SDGs(持続可能な開発目標)を楽しみながら学び、自分たちが今できることを考える一助となること』をテーマに、春日部教会青年部は8月7日、ウェブ会議システムを使って平和学習会を開き、学生部員、青年男女部員など15人が参加した。

当日は、青年男子部長(38)が、SDGsの意義、17の目標の内容を解説。日本のSDGs達成度(2022年)は、163カ国中19位で、達成済みの目標は「質の高い教育をみんなに」「産業と技術革新の基盤をつくろう」「平和と公正をすべての人に」の三つのみと話した。その上で、「つくる責任つかう責任」「気候変動に具体的な対策を」など環境に関する目標が達成されておらず、深刻な課題になっていることを説明した。

この後、『環境マークを探そう』と題したワークを実施。参加者はそれぞれ自宅にある物品から、環境に関するラベルを見つけ出して順番に発表した。分別回収を促進するため缶やペットボトル飲料に貼付された素材表示マークや、環境保全に資する商品として第三者機関が認定するエコマークなど、食品をはじめ自動車や建築資材に至るまで多種多様なラベルがあることを学びながら、環境負荷の低い商品やサービスの選び方について意見を交わした。

これらの学びを踏まえ、続くグループワークでは身近なエコ活動を討議。身近な実践例を提案し合った。

参加者の一人、学生部員(17)は「ごみは全て資源になることを学びました。アルバイト先のプールではさまざまなごみが大量に出るので、分別を徹底したい」と感想を語った。

実行委員長を務めた青年男子部長は「初のオンライン学習会で不安もありましたが、活発に意見交換でき、とても有り難い機会になりました。世界では今も戦争が行われています。今後も青年部の仲間と平和や自然の尊さ、人とのつながりについて学び、足元の実践から始めたい」と話した。

長岡教会 語り部の映像視聴 戦争の悲惨さを追体験

学生部員は、平和な世界をつくるためにできることを語り合った(「Zoom」の画面)

長岡教会学生部は8月21日、地元の新潟・長岡市における戦争の歴史を理解するため、「SDGs×平和学習」をオンラインで行った。学生部員7人が参加した。

長岡市は太平洋戦争中の1945年8月1日、米軍機の爆撃によって市街地の大半を焼失し、1488人の死者を出した(長岡空襲)。今回の学習会は、「普段、長岡空襲について詳しく学ぶ機会が少ない」という学生部員の思いを受け、自分たちの住む地域から世界平和を考えていくことを願いに企画された。

当日は、同市の長岡戦災資料館が製作した資料映像を配信した。この中では、語り部の女性が、食料や物資が乏しく不自由な生活を送った戦時中の思い出や、焼夷弾(しょういだん)により火の海と化した街を逃げ惑う中、家族を失った体験を吐露。参加者は女性の話を通して、戦争の悲惨さを追体験した。

次に、参加者は班に分かれ、『いのち、平和とは何か』『平和をつくるにはどうしたらいいか』といったテーマに沿って意見を発表し合った。

参加した学生部員(12)は、「戦時中の長岡で、今ではあり得ないようなつらい出来事があったと知りました。平和な世界をつくるため、まずは身近な人と仲良くしたい」と話した。