熊本地震から1年 柴垣多加志・熊本教会長に聞く
「七転び八起き」の精神で
不安だけに思える生活の中にも、実は喜びとなる「光」や「灯り」があります。一人では見つけることは難しくても、思いを分かち合えるサンガ(教えの仲間)の中でなら、生きる力となる喜びを発見できます。
例えば、心配してくれる人がいるというのは、有り難いものです。サンガと思いを共有する中で、家族が心配してくれていることに感謝ができた方はたくさんいます。
ある会員さんは、地震直前に疾患が見つかり、その上、地震で自宅が全壊しました。苦しい胸の内を吐露されました。しかし、サンガの支えの中で、息子夫婦の思いやりの深さに気づき、「それはこれまで、あなたたち夫婦が子供たちに思いをかけてきたからだよね」と言ってもらえた一言で、前を向いて歩き始めました。今は家族が一つになり、元気に毎日を過ごされています。
一方で、自らの身の上がつらくて、教会に足を運べず、こもりがちな方もおられます。こちらから訪ねて行って、「どうされていますか?」と声をかけていく――そんな取り組みを今後も、教会全体で進めていきたいと思っています。
2月に、本部で行われた教会役員指導会の後、全員で仙台教会を訪ね、教会役員の方々と交流させて頂きました。東日本大震災からの復興に向けた取り組みの経験を分けて頂くためです。体験説法や法座を通して、今も深い悲しみを抱えている方がおられることを知りました。悲しみや苦しみは、時間が経てば解決されるものではありません。「寄り添う」大切さを改めて教えて頂きました。
この1年、全国の教会の皆さまから頂いたご支援、そして思いやりは何よりの励ましとなりました。「七転び八起き」の精神で、転んでも起き上がり、ひとまわりも、ふたまわりも成長できるよう、サンガと共に歩んでまいります。これからも、東北、そして熊本にエールを寄せて頂ければと願っています。