第53回「青年の日」 世界の諸問題に共に向き合い 各地で多彩な菩薩行の実践へ

「SDGs情報誌」を制作 一年間の実践報告やクイズも

一年を通じた「青年の日」との意識を持ち、SDGsに取り組んだのは函館教会だ。昨年の「青年の日」にSDGsに関する学習会を開いたことを機に、世界平和の実現のため、SDGsの啓発に継続して取り組むとの目標を立てた。青年部を中心に、毎月、小冊子「SDGs情報誌」を制作。貧困や飢餓の解消に関する内容をはじめ、SDGsの17の目標から毎号一つを選び、身近な実践例を添え、漢字には全て読み仮名を入れて、誰もが理解できるよう工夫した。小冊子は機関誌「佼成」に挟み、支部長を通じて会員や地域の人々に配布され、今年の「青年の日」でちょうど一年が経つ。今後、全ての小冊子を束ねると17の目標が全てそろい、一つの冊子になる。

函館教会は、A3サイズに拡大した「SDGs情報誌」を作成し、昨年の「青年の日」から一年間取り組んできた学びを発表した

15日には教会道場で、新型コロナウイルスの感染防止に努めて、一年間の実践報告やSDGsに関するクイズを行った。

実行委員長の青年男子部長(32)は、「取り組みを続けるのは大変ですが、年配の女性に『SDGsについて、もっと教えて』と声をかけてもらった時には、意識が高まっている実感が湧いてきてうれしかったです。今後も『大河の一滴』となるSDGsの賛同者を増やしたいです」と語った。

取り組んだ内容と功徳を発表 「フレンドネーション」に協力呼びかけ

一方、厚木教会は、日本ユニセフ協会のクラウドファンディング型募金「フレンドネーション」を中心に、SDGsや「アフリカへ毛布をおくる運動」「親子で取り組むゆめポッケ」など、「一食を捧げる運動」に関連する取り組みの報告会を教会道場で実施。家庭での身近な菩薩行の実践を通して、感謝の思いと平和への祈りを周囲に伝えられる自分になることを願い、青年部を中心に壮年・一般会員が各取り組みの内容や実践した功徳を発表した。その模様はオンラインで配信された。

「フレンドネーション」の方法について説明する青年男子部長。厚木教会では2020年から取り組んできた

この中で、「一食ユニセフ募金・フレンドネーション」のコーナーでは、取り組みの責任者である青年男子部長(36)が、教会独自に立ち上げた募金のプロジェクト名「ユニセフ募金2022~『食べたい、飲みたい』のおすそ分け~」を紹介。支援を必要とする世界の子どもたちの現状について解説した上で、フレンドネーションの利点として、コロナ禍により街頭募金が難しい中でも、オンラインで献金ができると説明し、「世界の全ての子どもたちが笑顔で、家族と安心して暮らしていけるよう祈りながら、皆さんで募金を呼びかけていきましょう」と話した。

この後、パソコンやスマートフォンの操作に不慣れな人のために、コンビニエンスストアでの現金払いの方法が、実演動画で解説された。

ウクライナ情勢の平和的解決を WCRP日本委の篠原氏が講演

紛争で苦しむ世界の人々に思いを馳(は)せ、平和を祈る取り組みも各地で行われた。豊中教会は教会道場で、ウクライナ情勢の平和的解決を願い、青年部員らによる慰霊供養と、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会の篠原祥哲事務局長の講演会を行った。当日の様子はオンライン配信され、その視聴者も含め会員95人が参加した。

豊中教会は、ウクライナ避難民の現状を学ぶため、現地調査に同行していたWCRP/RfP日本委の篠原事務局長を招いて講演会を実施した(同教会提供)

ロシア軍のウクライナ侵攻が激化する中、同教会の青年部員たちは自分たちにできることを模索し、サンガ(教えの仲間)と心を合わせて世界平和を祈願する機会を設けた。

当日は、『法華三部経』を読誦(どくじゅ)し、ウクライナで命を落とした市民や兵士に慰霊の誠を捧げた。

続いて、篠原氏が講演。篠原氏は今月上旬、ウクライナの避難民の現状を視察するため、本会派遣の調査団に同行した。講演では、訪問した欧州各国で生活する避難民の現状や、彼らを受け入れる各団体の状況を紹介。家族と引き裂かれたウクライナの人々に対し、物資だけでなく「家族のようなつながりによる支援」が必要なことを学んだと説明し、今後の支援活動を考える上でも生かしたいと述べた。

参加した学生部長(29)は、「犠牲になられた方々が生きてきた人生に敬意を込めて、読経供養をさせて頂きました。講演会の後、学生部の仲間から『自分も支援に取り組みたい』という願いが聞けて有り難かったです。これからも、平和への意識を新たにし、皆さんと共に視野を広げていきたいと思います」と話した。

また、15日夕には、「青年の日」の特別企画として、フォコラーレ運動(カトリック在家運動体、本部・ローマ)との共催によるオンラインプログラムが開催された。本会のウクライナ調査団のメンバーがハンガリー・ブダペストにあるフォコラーレ運動の施設からライブ配信を実施。避難民の支援に携わるフォコラーレメンバーの体験を分かち合い、共に平和の祈りを捧げた