南多摩教会 ウクライナの平和を願い千羽鶴製作 避難民の現状視察する本会調査団を通じ奉納

わずか1カ月間で、3万羽以上の折り鶴がサンガから寄せられた。色とりどりの千羽鶴には、一人ひとりの平和への祈りが込められている

ロシアのウクライナへの軍事侵攻によって失われた多くの命への供養と、世界平和を祈念して、立正佼成会南多摩教会はこのほど、千羽鶴の製作に取り組んだ。教会の呼びかけに応えた会員から寄せられた折り鶴は約3万羽。一つ一つ糸を通し束ねられた千羽鶴が、教会道場のご宝前に献鶴された。折り鶴を通して、会員は自らの心を見つめるとともに平和への思いを深めた。

「ウクライナに平和が訪れるよう、心を込めて折り鶴を折って頂けませんか」。今年3月4日に、同教会の会員向けにオンライン配信された機関誌「佼成」研修の冒頭、島田華代教会長は、そう呼びかけた。島田教会長は、鶴を折ることで戦争への憤りが静まり、心を穏やかに平和にすることができた自身の体験を紹介。サンガ(教えの仲間)とその学びを分かち合い、平和を祈りたいと訴えた。

この日から、約1カ月間をめどに折り鶴の募集を開始。すると1週間余りで、約5000羽の折り鶴が宅配便や郵送で教会道場に届けられた。期限の3月末には、その数は3万1150羽に上った。

折り鶴は、高さが20センチもあるものから小ぶりのものまでさまざま。教会護持にあたる教会幹部がそれらを仕分け、糸を通して千羽鶴に仕立てた。さらに、色とりどりの折り鶴をパネルに貼り付けてハートや花をかたどり、平和への願いやウクライナの人々に馳(は)せる思いを表した。

会員をはじめ約800人がこの取り組みに参画。その一人で、夫(71)を在宅介護する組長(67)は、研修を視聴後、介護の合間に折り鶴を作り始めた。折り紙の裏には「私の心が平和になりますように」とのメッセージを記入。これまでは、夫から感情をぶつけられると、後遺症が原因と分かっていても悔しさから夫の顔を見られなかった。「ウクライナの人々を思いながら鶴を折らせて頂く中で、身近な人を大事にすることが平和につながっていくと感じました。これからは、いつも穏やかな心で夫と触れ合いたい」と話す。

支部会計(68)が取り組んだのは、夫(73)が集中治療室に入院中の時だった。生死の境をさまよう夫と戦火を逃れるウクライナの人々の姿が重なったと言い、「どちらの命も助かってほしいと必死の思いで折りました。夫は回復に向かっていますが、今も戦時下にある人々を想像すると胸が痛み、一刻も早い停戦を祈らずにはいられません」と語った。

折り鶴を通して会員それぞれが心を見つめ、足元からの実践を誓った。

また、教会に寄せられた折り鶴の半数は、今月4日からウクライナ避難民の現状視察で周辺国を訪れている本会調査団に託され、8日に世界をオンラインでつないで行われた「ウクライナ戦争犠牲者慰霊供養」で奉納された。国外に避難したウクライナの人々にも千羽鶴が贈られた。