WCRP創設50周年記念式典・シンポジウム 『Our Heart for All Beings~宗教協力の新たな扉~』をメーンテーマに (動画あり)
式典の席上、「WCRP日本委員会(WJ)アジェンダ2030『あらゆるいのちと尊厳を守る コレクティブ・インパクトをめざして 誰一人取り残さない世界に変革する』」が発表された。このアジェンダは、2030年までの日本委員会の行動目標を表したもの。国連で定められた持続可能な開発目標(SDGs)や気候危機に対応する「パリ協定」などに呼応しつつ、世界の諸課題に取り組む宗教者の決意が六つの重点行動として示されている。(各項目の説明は資料を基に編集)
「WCRP日本委員会(WJ)アジェンダ2030」
1.国際的“サバイバル目標”達成に向けた世界の宗教ネットワークの強化
2030年に向け、世界の宗教者と共に、SDGs(持続可能な開発目標)、パリ協定などに定められた国際的な共通目標の達成をめざします。これらは、人類の生き残りをかけた“サバイバル目標”であり、世界の宗教ネットワークと全力で取り組みます。
2.気候危機の打開に向けたグローバルサウスとの連携
2030年までに、産業革命前に比べて世界の平均気温の上昇を1.5度に抑えるため、気候変動への取り組みを強化します。先進国の大量生産、消費型の生活様式は、開発途上国などの資源や労働の収奪によって成り立っており、特に、東京に事務所があるACRPの活動を通して、グローバル化によって被害を受けている地域や人々(グローバルサウス)と連携し、彼らの呼びかけに応答していきます。
3.非武装による戦争のない世界の実現に向けた政治との対話
創設以来、WCRPの念願である「戦争のない世界」の実現に取り組みます。特に、軍事的緊張が高まりつつある昨今の国際社会において、核兵器廃絶は一刻の猶予もない課題です。廃絶の最大の障壁となっている核抑止論の信ぴょう性について、国会議員と検証し、非武装の世界を実現します。
4.異常な経済的格差の解消に向けた経済界との対話
世界の約2000人の裕福な人々が持つ富は、貧困層に属する46億人の富の合計より大きいといわれています。この異常な経済的格差は、貧困からの脱却をより困難なものにしています。非倫理的な状況の改善に取り組むことは宗教者の責務であり、共生のための経済を確立するため、ビジネス界と対話を行います。
5.人とのつながりの醸成に向けた草の根コミュニティ活動の強化
地域コミュニティにおける相互扶助の機能が失われ、人々の孤立が深まっています。人と人とのつながりによって温もりを感じられる信頼関係こそ、孤立化が進む社会のセーフティーネットになります。こうしたつながりを醸成する草の根のコミュニティ活動を応援します。
6.ケア(慈しみの実践)が重視される社会に向けた公共における宗教活動の実施
WCRPの第10回世界大会(2019年、ドイツ・リンダウ)のテーマ『Caring for Our Common Future』の「Caring」(ケアする)を、WCRP日本委員会は「慈しみの実践」と訳しました。日本では超高齢・多死社会を迎えるにあたり、公共の場における宗教的ケアの重要性と社会におけるケアワークの必要性が高まっています。自らが慈しみを実践するとともに、ケア労働者(エッセンシャルワーカー、介護福祉士、看護師、保育士、教師など)と連携しながら、慈しみの実践が重視される社会の実現をめざします。