〈ひと〉TKWOクラリネット奏者・亀居優斗さん 日本音楽コンクールで1位 愚直に音楽に向き合って

10月25日に行われた「第90回日本音楽コンクール」(主催・毎日新聞社、NHK)のクラリネット部門(出場者159人)で、1位に輝いた。同コンクールは国内の楽壇で伝統と権威があり、若手の登竜門として知られる。

「愚直に音楽に向き合うことを心がけてきました。コンクールに向けては、作家や作品への敬意を持って楽譜に忠実に演奏するため、いつも以上にしっかりと読み込んで練習を重ねました」

オーケストラ好きの祖父の影響で、幼い頃から音楽に親しんだ。小学生の時にピアノとトランペットを始め、中学で吹奏楽部に。知人からクラリネットを譲り受けたことをきっかけにプロ奏者の道を志した。中学校の卒業アルバムには「有名なオーケストラの一員になりたい」と書いた。

中学3年生から市民楽団をはじめ三つの楽団に所属し、多様な人や音楽に触れ、幅を広げた。2018年に日本有数の吹奏楽団である東京佼成ウインドオーケストラ(TKWO)に入団。夢だったプロの道を歩み始めた。

「常にアップデートしていきたい」。自分にそう言い聞かせ、自身を奮い立たせてきた。目標の達成のためには、ストイックに取り組む。今も時間を見つけてはさまざまな演奏会に足を運び、著名な音楽家のレッスンを受けて自己研鑽(けんさん)を欠かさない。

「コンクールでは1位を頂きましたが、音楽に対して常に謙虚であり続けたいと思っています。私の演奏を聴いてよかったと思ってもらえる奏者でいたい」。謙虚に、それでいて新しいものを常に追い求め、クラリネット界に新しい風を吹き込めるようにと願う。