ACRP東京大会が閉幕 環境危機や紛争、人権侵害の解決に結束

WCRP日本委員会 庭野会長挨拶(要旨)

苦悩分かち合い、アジアの課題解決に手を携え

ACRP東京大会は本来、昨年10月に開催される予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大によって、残念ながら本年に延期されました。また皆さまと直接お会いできることを大変楽しみにしておりましたが、いまだコロナ禍は終息せず、やむなくオンライン形式での開催とさせて頂きました。

7年前の2014年8月、韓国の仁川(インチョン)で第8回ACRP大会が開かれ、新たに日本人の事務総長が選任されました。それに伴い、事務局も日本に移設いたしました。WCRP日本委員会としましては、事務局を受け入れる責任の重さ、役割の大きさを痛感し、以降、常にACRP事務局と連携を取り合って、活動を進めてまいりました。

開会式で歓迎挨拶に立った庭野会長

今大会のメーンテーマは、『行動するアジアの宗教コミュニティ:誰一人取り残さない、健やかで豊かなアジアの平和をめざして』であります。このテーマに象徴されますように、ACRP事務局の日本への移設以来、最も重視されてきたことは、より行動志向型のACRPに進化させていくことでした。具体的には、アジア地域における喫緊の課題に対し、各国チャプターの方々や専門家が力を合わせて、五つの「フラッグシップ・プロジェクト(中心となる計画)」を設定し、取り組んでまいりました。

プロジェクトの第一は、いのちの尊厳教育を推進することです。第二は、世界で約4000万人を上回るといわれる人身取引の防止です。第三は、アジア太平洋地域での平和構築と和解であります。第四は、世界共通の課題である環境問題への取り組みです。そして第五は、現在と将来を担う青年リーダーの育成であります。

WCRP日本委員会も、これらのプロジェクトのうち「人身取引防止」「環境問題」「青年リーダー育成」のプロジェクトに参加し、積極的に活動を積み重ねてまいりました。

宗教によって培われる平和な心とは、端的にいうならば、自らのいのちの尊さ、有り難さ、不思議に気づくことを通して、他の一切の生きとし生けるもののいのちを尊重することであります。そうした最も普遍的にして根本的な共通の価値観を確認し合い、身近な場で実践していくことが、私ども宗教者に課せられた役割でありましょう。

特にアジアには、世界的に見ても、極めて困難な課題が山積しております。しかし、同じアジアに生きる宗教者として、苦悩を分かち合い、問題の本質を見つめ、解決策を見いだしていけるよう、皆さまと手を携えて前進してまいりたいと思います。

今大会を機に、ACRPが、アジア太平洋地域に一層大きな貢献を果たしていくことを念願し、また皆さまの更なるご協力をお願いして、歓迎の挨拶といたします。
(文責在編集部)