佼成学園「創立記念式典」 自らのいのちに深い感慨を 庭野学園長が諭告

庭野学園長は太陽の写真を示し、宇宙の働きの中で生かされている不思議さを語りかけた

学校法人佼成学園の「令和3年度創立記念式典」が9月7日、大聖堂(東京・杉並区)で行われた。新型コロナウイルスの感染防止のため、式典の様子はインターネットで配信され、佼成学園中学・高校の生徒1195人は自宅で、佼成学園女子中学・高校の生徒716人は教室で映像を視聴した。

式典の冒頭、創立者である庭野日敬名誉学園長の足跡と学園創立に込められた願いを紹介する映像が配信された。

次いで、今年4月に就任した中村憲一郎同学園理事長が挨拶を述べた。中村理事長は、同校の卒業生で、東京パラリンピックのトライアスロンで6位に入賞した木村潤平さんの人生を紹介。先天性の下肢不全がありながら、在校中は毎年マラソン大会で松葉づえを使って完走するなど、どんな状況にあっても全力を尽くす生き方をたたえた。

また、大リーグの大谷翔平選手は、野球の活躍だけでなく、普段からあいさつやごみ拾いなどを心がける姿が注目され、人間性も評価されていることに言及。良き人生を送るには良き習慣が大事とした上で、「志高く、夢を持って、自分の人生を歩みましょう」と語った。

この後、諭告に立った庭野日鑛学園長は、同校の校訓でもある「行学の二道を励み候べし。行学絶えなば佛法はあるべからず」という日蓮聖人の言葉を説示。行と学とは車の両輪の如(ごと)く、鳥の双翼の如きものと心得て精進すべき、という庭野名誉学園長の言葉も示した上で、大切なことをただ知るだけでなく、それを実践するという「行学二道」の精神を身につけることが大事と述べた。

また、「徳性」の大切さにも触れ、心が明るい、心が清い、人を愛する、助ける、恩を知る、正直である、勇気がある、忍耐の力があるといった徳性を具(そな)えている人は社会人になっても尊ばれると説明。こうしたはたらきを心がけて、しっかりとした人間になる重要性を強調した。

さらに、宇宙物理学者や宇宙飛行士の言葉を紹介しながら、神秘的で不思議としかいいようのない宇宙の働きの中で、奇跡的に人間のいのちが存在していると明示。宗教もまた、人間は生かされて生きていることを教えているとして、「自らのいのちに深い感慨を持ち、自分の持てる力を十分に発揮して、世のため人のためになるような皆さんであってほしい」と激励した。