「人類に対する敵との闘い――キリスト教と新型コロナウイルス」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)

人類に対する敵との闘い――キリスト教と新型コロナウイルス

英国国教会の最高指導者であるカンタベリー大主教のジャスティン・ウェルビー師は3月17日、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を防止するため、同教会で冠婚葬祭を除く典礼と儀式を一時的に中止すると公表した。

加えて、同教会で執り行われる結婚式の参加者を、聖職者、新郎新婦、証人2人の計5人に限定。新郎新婦を除く参加者は、同国政府が規定する間隔(2メートル以上)を保つと定めた。また、幼児洗礼は聖職者、幼児、両親の4人に限ると明かした。

さらに同師は、信徒に向けて、司式する日曜礼拝を同教会のウェブサイトと英国の公共ラジオ放送(BBC)で中継すると発表。教会で祈りを捧げるのではなく、「信徒が神と出会い、慰めを見いだすための新しい場所(メディア)が提供されなければならない」と述べた。

英国カトリック教会のヴィンセント・ニコルズ枢機卿(ウェストミンスター大司教)は20日、「こうした状況下(同ウイルスの世界的な流行)におけるカトリック教会の教えは、政府の指示に従い、一日も早く皆でミサに参加できるようになること」と伝える司牧書簡を公表。世界には、暴力や迫害などを受けてミサに参加できない信徒が多く存在することに触れ、この体験を通して彼らに思いを馳(は)せようと呼び掛けた。その上で、「ミサでの祈りは、助けを必要としている人々への愛と慈しみである。あなたたちの周囲の人たちに対し、それを実行するように」と伝えた。

その後、英国では23日夜にジョンソン首相がテレビ演説を行い、感染が拡大している状況を受け、生活必需品の買い物などを除き、原則として外出を禁止すると発表。生活必需品を販売する店以外は閉鎖させた。公共の場で3人以上が集まること、結婚式などの行事も禁止した。

一方、フランス政府は17日、同ウイルスの感染予防対策として、同国ピレネー山脈の麓にある巡礼地ルルドと、1858年に聖母が出現したとされる「ルルドの泉」を一時的に閉鎖した。

ギリシャ正教会の主教会議は16日、日曜日の礼拝を除く全ての典礼を中止することを決議した。これを受け同国のミツォタキス首相は、あらゆる宗教の典礼、儀式を30日まで中止し、礼拝所では個人的な祈りのみを許可することを決定。東方正教会コンスタンティノープル・エキュメニカル総主教のバルトロメオ一世は20日、同ウイルスを「人類に対する敵」と称し、全ての信徒に向けたメッセージの中で、「医療機関や各国政府が発令する規定を、正しく、忍耐強く実行するように」と呼び掛けた。

さらに同総主教は、「人類が直面する世界的な感染拡大という試練の中で、全ての信徒が一致と責任の証を示していくように」と強調。同ウイルスの感染者を治療する医師や看護師、根治療法の確立を目指す研究者や科学者に謝意を表した上で、信徒に外出を控えるよう訴えている。またロシア正教会のキリル総主教も信徒たちに、政府の政令を順守するよう指示している。

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