第37回庭野平和賞 韓国の在家仏教教団「浄土会」創立者の法輪師に

JTSの活動として2015年にラオスで学校を開校 ©JTS

一方、朝鮮半島の軍事的緊張の緩和が必須との考えを深めた同師は、2004年に「平和財団」を設立。政策提言のほか、シンポジウムの開催、市民教育の提供を通じて和平に寄与してきた。米朝関係の緊張が高まった17年には、関連団体と共に「朝鮮半島平和ラリー」を結成し、世界の主要都市で、1万人以上が参加する反戦・平和促進のための平和集会を行った。

食糧危機に瀕(ひん)する北朝鮮への食糧援助は、世界の貧困の解消や識字率の向上のために設立された国際NGO「ジョイン・トゥゲザー・ソサエティ」(JTS)を通じて行われている。昨年はトウモロコシ1万100トンを北朝鮮に輸送した。

JTSは、アジアを中心に貧困地域で教育援助や医療支援、コミュニティー開発なども展開する。ミャンマーから国境を越えてバングラデシュに逃れたロヒンギャ難民の支援にも取り組み、昨年には、難民キャンプで使う10万台の調理用ガスコンロを提供。難民の栄養状態の改善や森林伐採の防止に貢献した。各国で大規模な自然災害が発生した際は現地にボランティアスタッフを派遣し、緊急支援を行っている。

このほか、「エコブッダ」を設立し、環境保全のための教育に力を注ぐ。

同師は2002年、アジアのノーベル賞と称される「ラモン・マグサイサイ賞」(平和と国際理解部門)を受賞。18年には、韓国政府から、市民統一運動に対し、国民勲章牡丹章が授与された。

仏教を生活に生かす同師の説法は人気で、著書は多数。日本では、『心が目覚める生き方問答』(地湧社)、『幸せな通勤』(佼成出版社)が発刊された。

異なる信仰や文化を持つ人々の間に揺るぎない信頼関係と善意を築く同師の努力と、仏教精神に基づく平和構築の功績が高く評価され、今回の受賞となった。

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