中国とバチカンの閣僚が国交回復などを協議(海外通信・バチカン支局)

握手を交わすギャラガー外務局長(左)と王外相(バチカン記者室提供)

バチカン国務省外務局長(外相に相当)のポール・リチャード・ギャラガー大司教は2月14日、中国の王毅国務委員兼外相と、ドイツのミュンヘンで会談した。新型コロナウイルスについての対応策などを探る「ミュンヘン安全保障会議」の席上でのことだ。両国の外相が会談したのは初めて。

両国は1951年に断絶した国交の回復を目指して交渉を続けてきた。2018年、国交回復に向けた難関の一つとされるカトリック司教の任命に関する「暫定合意」を成立させ、交渉は大きく進展。同省が同日に公表した声明文によると、今回の会談が友好的な雰囲気の中で行われ、両外相が暫定合意の重要性を強調したという。「カトリック教会の活動と、中国国民の善を促進するため、両国間の対話を継続していく意向が再確認された」とのことだ。さらに、両外相が、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぎ、患者救済への連帯を実行する国際共同体の努力を評価し、「世界で共存と平和を促進するため、さらなる国際協力と諸文化間対話、人権問題についても意見を交わした」と伝えている。

一方、王外相は「中国国営新華社通信」を通し、ギャラガー外相に「中国全土が新型コロナウイルスに対処している状況下にあって、聖座(バチカン)が示した連帯に対し、謝意を伝えた」と報告。「聖座は、感染症と闘う中国の努力を支援するよう国際共同体に示し、世界的な衛生上の安全保障を守るため、新型コロナウイルスに理性的、科学的な方法で対応するよう促すことができる」と評価した。

また、今回の会合の重要性を強調し、「両国間の相互理解を深め、さらなる信頼を醸成して協力関係を強めていく」との意向を示した。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)