第37回庭野平和賞 韓国の在家仏教教団「浄土会」創立者の法輪師に

1998年、北朝鮮飢餓緊急支援のために普門館で行われたACRP韓日合同集会でスピーチ(提供=世界宗教者平和会議日本委員会)

受賞者メッセージ

庭野平和賞受賞者に選ばれたことは、私にとりまして栄誉であり、謹んでお受けしたいと思います。

遡(さかのぼ)ること2000年、同じ韓国の姜元龍(カン・ウォンヨン)師が第17回庭野平和賞を受賞されたことをはっきりと記憶しています。私が社会正義の実現に身を捧げようと決意する上で、姜師のキリスト教徒としての平和観から多大な影響を受けました。今回の受賞という名誉を姜師と分かち合えることは光栄であります。

庭野平和財団は、諸宗教対話による平和への道を先導してこられました。私たちの組織は「社会活動を通じて一人ひとりが自己変革を目指す」という仏教原理に立脚しており、全ての活動がボランティアによって推進されています。私たちは、庭野平和財団を創設された庭野日敬師が仏教徒として取り組まれた改革や、平和活動を通じて切り開いてこられた道をよく存じており、今回の受賞に対して一層の誇りを感じます。

北朝鮮への人道支援活動や南北の平和統一に向け、私は過去20年間、諸宗教の指導者たちと協働してきました。また、私が創設した団体は、インドでかつて「不可触民」と呼ばれた最底辺に置かれた人々、難民となったアフガニスタンの人々、フィリピンの先住民族であるムスリム(イスラーム教徒)などに対する支援を行ってきました。その中で気づいたことは、人々が苦しむ飢えや教育機会の喪失、極度の貧困の背景に、紛争や戦争が横たわっていることでした。争いがもたらした根強い敵対心の解決なしには、人道支援を実施することは元より、基本的人権を保障し、その状態を長く保っていくことも不可能なのです。社会運動を進めるには平和な状態が欠かせませんし、同時に、社会運動がもたらす究極の結果が平和でもあります。

相互理解によって他の人との違いを認識した上で、世界の諸宗教者が平和のために協働すれば、今日、世界で起きている紛争や戦争を大幅に削減することができるでしょう。

このたびの受賞は、決して私個人が名誉にあずかるものではなく、平和のために身を尽くされる世界中の方々と共に受けるものであると感じています。私の願いは、世界平和の実現のために諸宗教指導者の皆さま方との結束を高めることであります。

浄土会禅師 法輪

第37回庭野平和賞の選考に当たった庭野平和賞委員会「委員一覧」

▼委員長=アン・ジェウン氏(韓国、キリスト教、韓国YMCA評議会理事長)▼庭野日鑛・庭野平和財団名誉会長▼スーザン・ヘイワード氏(米国、キリスト教、米国平和研究所相談役)▼ハルシヤ・クマラ・ナヴァラトネ氏(スリランカ、仏教、セワランカ財団理事長、仏教者国際連帯会議理事長)▼サラ・ジョセフ氏(英国、イスラーム、ムスリムのライフスタイルマガジン「emel」CEO兼編集者)▼ランジャナ・ムコパディヤーヤ氏(インド、ヒンドゥー教、デリー大学東アジア学部准教授)▼フラミニア・ジョバネッリ氏(イタリア、キリスト教、ローマ教皇庁人間開発のための部署次官)

選考後にアン・ジェウン氏が退任し、スーザン・ヘイワード氏が新委員長に就任。新たにムハンマド・シャフィーク氏(米国、イスラーム、ナザレス大学諸宗教研究対話センター所長)、ノクゾラ・ムンデンデ氏(南アフリカ、アフリカ伝統宗教、イカマグ協会会長)が委員に加わった。