第37回庭野平和賞 韓国の在家仏教教団「浄土会」創立者の法輪師に

法輪師 ©The Peace Foundation

「第37回庭野平和賞」の受賞者が、韓国の在家仏教教団「浄土会」の創立者である法輪(ポンニュン)師(66)に決まった。公益財団法人・庭野平和財団(庭野日鑛名誉会長、庭野浩士理事長)は2月17日、京都市内のホテルで記者会見を開き、席上、庭野理事長が発表した。

法輪師は、「慈悲の実践を通じて世界全体の幸福に貢献する」との理念に基づき、浄土会内に多くの団体をつくり、国内外で福祉や人道支援、環境保護の活動に尽力。諸宗教者と協働して北朝鮮の人々への救援も続け、朝鮮半島の平和構築に尽くしてきた。贈呈式は6月3日、国際文化会館(東京・港区)で行われ、同師に賞状と顕彰メダル、賞金が贈られる。

庭野理事長(左)が第37回庭野平和賞受賞者を発表

庭野平和賞は、宗教協力によって世界平和の推進に顕著な功績をあげた個人や団体に贈られるもの。世界の識者600人が推薦した候補の中から、庭野平和賞委員会(構成委員は別掲)の審査を経て選出される。

朝鮮半島はじめアジア各国の平和構築に尽力

法輪師は、1953年、韓国蔚山(ウルサン)広域市生まれ。16歳で曹渓宗の佛心道文法師の下で得度した。35歳の時、仏教による社会問題の解決を目指し、在家仏教教団「浄土会」を創立。真の平和(浄土)を実現するため、心の安寧を養い、利他の実践に打ち込める仏道修行の場を提供した。加えて、社会活動団体をつくり、現在まで、紛争や自然災害、社会の不公正、環境破壊といった問題に苦しむ世界の人々の救援に取り組んできた。

朝鮮半島の和平をはじめとする平和構築活動に本格的に取り組み始めたのは1996年。北朝鮮で発生した大洪水による壊滅的な食糧危機に対し、同師は韓国の33の仏教団体と協働し、「韓国仏教分かち合い運動」(KBSM)を設立した。翌97年には、南北の和解に向けて、北朝鮮への人道支援を呼び掛ける「100万人署名キャンペーン」を展開するとともに、国内外で援助の必要性を訴え、世論の形成に努めた。

また、96年から2000年まで、中国に逃れた北朝鮮難民に対する医療・教育・物資の支援、職業訓練を実施。難民への大規模なインタビューも行い、「食糧危機報告書」を作成するなど北朝鮮国民の状況を調査した。

KBSMの活動は、1999年に法人化した支援団体「グッドフレンズ」に引き継がれた。現在は、北朝鮮難民の韓国への定住支援に取り組み、両国民の友好を深めるイベントなどを開催している。

飢餓に苦しむ北朝鮮の人々の緊急救援を呼び掛ける100万人署名運動で(2008年) ©The Peace Foundation

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