WCRP/RfP ドイツ・リンダウで第10回世界大会 共通の未来に向けて 慈しみの実践を

参加者は、国際会議場から同公園まで行進し、式典に臨んだ

大会宣言文を採択 初の女性事務総長を選出

21日には、『平和推進者としての中東・北アフリカ地域の女性による対話』と題した特別セッションを実施。チュニジア、イラク、エジプト、バーレーンで活躍する女性リーダーが登壇し、性差のない市民権の確立、少数派の保護、人種差別の禁止といった民主化や社会変革の取り組みを報告した。

同日午後には、全参加者が国際会議場「インゼルハレ」からルイトポルト公園まで平和行進し、式典を挙行。市民と共に平和の祈りが捧げられた。

さらに今大会には、紛争や対立、難民・避難民の問題を抱えるミャンマー、バングラデシュ、中央アフリカ、南スーダン、ウガンダなどから宗教指導者が参加。環境保護などで注目されるカリブ・アマゾン地域から先住民の代表を含む宗教者も集い、課題の解決に向けて意見が交わされた。

閉会式で事務総長を退任するベンドレイ博士(左から2人目)の功績をたたえ、謝意を表した庭野会長

23日の閉会式では、これらの国や地域の宗教者が登壇し、対話と協力に基づく平和構築をアピールした。続いて黒住師を含む11人の宗教者が大会宣言文を読み上げ、満場一致で採択された。

宣言文では、地球の全てのいのちが、つながり合っている事実を踏まえ、宗教者として平和構築に積極的に取り組むことを確認。紛争の予防、移民・難民との共生、核兵器の廃絶、気候変動への対処など9項目が「共通の行動」として表明されている。世界大会に向けて、日本委員会は事前に国際委員会に「リンダウ宣言へ向けた日本からの提言」を出しており、「共通の行動」の8項目で、「提言」の趣旨との一致が見られた。

また閉会式の席上、今大会をもって事務総長を退任するウィリアム・ベンドレイ博士に対し、庭野会長をはじめ9人の宗教者がメッセージを披露した。この中で庭野会長は、「ベンドレイ博士の尽力によってレリジョンズ・フォー・ピース(RfP)は『行動する共同体』へと進化を遂げてきました。日本委員会を代表して、その功績をたたえ、感謝の意を表します」と述べた。

新事務総長に選出されたカラム博士

新事務総長にはムスリム(イスラーム教徒)であり、国連で要職を務めるエジプト出身のアッザ・カラム博士(50)が就任。初の女性事務総長となる同博士が参加者を前に挨拶した。

なお、国際委員会の人事が発表され、庭野会長が国際名誉会長、光祥次代会長が国際共同会長と国際共同議長に再任された。日本からは浄土真宗本願寺派の大谷光真前門(日本委顧問)が国際名誉会長に選任された。

大聖堂はじめ全国各教会で祈願供養

世界大会の成就を願い、大会期間中の8月20日から23日まで、大聖堂をはじめ全国各教会で祈願供養が行われた。

大聖堂では午前9時の読経供養で、『第十回世界宗教者平和会議ドイツ・リンダウ大会成就祈願供養』式文を奏上。大会で世界平和に向けた対話が促進されることを祈念するとともに、自らも大会参加者と願いを一つにして大会のメーンテーマである『慈しみの実践』を胸に刻み、大和(だいわ)・調和の精神で菩薩道の実践に努めることを決定(けつじょう)した。