WCRP/RfP ドイツ・リンダウで第10回世界大会 共通の未来に向けて 慈しみの実践を

全体会議IIでは、連帯を深めて和平に尽くすミャンマー委員会のメンバーが登壇

世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)の第10回世界大会が8月20日から23日まで、ドイツ・リンダウで行われた。大会テーマは『Caring for Our Common Future―Advancing Shared Well-being(慈しみの実践:共通の未来のために――つながりあういのち)』。ドイツ外務省の協力によって開催され、125カ国の宗教者900人をはじめ1000人以上が参集した。日本委員会からは、庭野日鑛会長(WCRP/RfP日本委員会会長、国際名誉会長)、植松誠日本聖公会首座主教(同日本委理事長)、黒住宗道黒住教教主(同日本委理事)をはじめ40人が参加。20日の開会式では、国際共同議長の庭野光祥次代会長が英語でスピーチを行った。
(写真提供=WCRP/RfP日本委)

世界の宗教者ら1000人が参集 ドイツ政府が開催を後押し

世界大会の開催は、地元メディアでも大きく報じられた

今大会は、オーストリア・ウィーンでの第9回大会から6年ぶりの開催となる。リンダウ市各所には大会の旗や幟(のぼり)が掲げられ、参加者は市や市民の大きな歓迎を受けた。

20日午前に国際会議場「インゼルハレ」で行われた開会式では、子供たちによる諸宗教の祈り、ドイツの宗教指導者の歓迎の挨拶に次いで、国際共同議長である光祥次代会長とカトリックのジョン・オナイエケン枢機卿(ナイジェリア・アブジャ大司教)が挨拶した。最初に登壇した光祥次代会長は、核戦争の危機が高まる中、1970年の第1回大会(京都)の開催に尽くした庭野日敬開祖をはじめとしたWCRP/RfP創設者たちの「諸宗教協力」実現への志に思いを馳(は)せ、進展してきた今日までの歩みを振り返った。また、「分断」が進む世界の現状に触れながら、先達の意志を受け継ぐとともに、対話を「アップグレード」することが重要と強調。人と人との間に「壁」をつくるのではなく、他者の声に耳を傾け共感を示していく大切さを訴えた。

続いてドイツのシュタインマイヤー大統領が開会の挨拶に立った。基調発題では、東方正教会コンスタンティノープル・エキュメニカル総主教のバルトロメオ一世、ムスリム社会における平和推進フォーラム会長のシェイク・アブドラ・ビンバイヤ師(国際共同議長)、国際委員会のウィリアム・ベンドレイ事務総長がスピーチ。ベンドレイ事務総長は宗教者の役割に触れ、「私たちはつながりを強め、『リング・フォー・ピース(平和のための輪)』を築いていかなければならない」と述べた。

この後、大会では、『つながりあういのち』を共通テーマに全体会議が連日開かれ、『積極的平和における諸宗教によるビジョン』『戦争やテロ等の紛争を予防し転換する』『公正で調和のある社会を促進する』『持続可能な総合的人間開発を促進し地球を守る』について討議。各回で、宗教者をはじめ元首脳や国連の上級代表、NGOの代表が講演し、宗教者の行動の指針となる「アクションポイント」が示された。全体会議での議論を深めるため、五つの分科会が二回設けられた。

ドイツ、スイス、オーストリアにまたがるボーデン湖に浮かぶ島リンダウ

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