平和を目指し、地球規模の諸課題について対話 「第32回世界宗教者平和のための祈りの集い」開催(海外通信・バチカン支局)
15日と16日午前には、ボローニャ大学などを会場に、『欧州危機』『価値のある人生』『環境教育と持続可能な開発』『差別や暴力のない世界』など、地球規模の諸課題をテーマとする34の分科会が行われた。
『宗教と生命の価値』をテーマに開かれた第7分科会では、川本所長と世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会の篠原祥哲平和推進部長がスピーチを行った。
川本所長は「仏教の世界観」と「佼成会の平和活動」「宗教者の役割」について紹介した。仏教の基本は「慈悲」であると指摘。他者に利益や安楽を与える「与楽」と、他者の苦を共有し、それを取り除く「抜苦」をあわせて実践することが「慈悲」と説明した。
さらに、本会の平和活動として、青少年を対象にした戦争犠牲者への慰霊プログラム(国内外の平和学習)を紹介。自身が高校生の頃に体験したフィリピンでの平和学習に触れ、「この経験から、日本が他国に危害を加えた過去の事実を知り、そして心に深い傷を負った方々と向き合い、話し合える環境をつくっていく重要性を学んだ」と述べた。その上で、宗教者の役割として、若い世代に戦争の無意味さを伝えていく大切さを訴えた。
16日夕、ボローニャ市内の各会場で宗教ごとに「平和の祈り」が捧げられた後、参加者は閉会式会場のマッジョーレ広場まで平和行進。閉会式では「ボローニャ宣言」が読み上げられ、現在までの世界のグローバル化に触れながら、全人類共通の未来を築くため、精神性の一致に向けた努力を果たすとともに、諸宗教が架け橋となって「共通性を見いだし、人類を再構築する」役割を果たしていくことを誓った。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)