待ったなしの地球温暖化対策 仏教の視点から環境問題を考えるシンポ

『仏教は地球を救えるか』をテーマに、「次世代のための環境シンポジウム」が6月4日、東京・港区の東京グランドホテルで開催された。主催は和合科学国際会議。約230人が参加した。

「国連気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の第5次評価報告書によると、世界の平均気温は、1880~2012年までの132年間で0.85度上昇。2100年には、最大で4.8度上昇すると予測されている。主な要因は温室効果ガスの排出量の増加といわれる。こうした地球温暖化により、現在、氷河の融解や干ばつ、熱波、寒波などの問題が世界各地で発生。今後、気候変動によって、洪水の頻発、生態系や食糧生産への影響などが懸念され、世界規模で早急な対応が求められている。同シンポジウムは、仏教の智慧(ちえ)から環境問題の解決の可能性を探るために開催された。

山本良一・東京大学名誉教授

当日は、山本良一・東京大学名誉教授が基調講演を行った。山本氏は、温暖化によって地球の海水温が上昇し、その影響で昨年の九州北部豪雨のように、狭い範囲に大量の雨が降り、今後各所で自然災害が発生する可能性が高いと指摘。同様の豪雨が東京都で発生した場合、23区の3割(約212平方キロメートル)が浸水し、1週間以上、水が退(ひ)かない恐れがあると説明した。地球温暖化がこのまま続けば、「20年以内に想像を絶するような気候変動が起こる」と訴えた。

一人からできる取り組みとして、化石燃料や原子力発電関連の企業に投融資している銀行から、再生可能エネルギーを推奨する銀行に預金を移す「ダイベストメント」を紹介。海外の宗教団体ではこうした活動を支持、推進しており、日本の宗教団体にも期待を寄せた。

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