分断と対立に終止符を 庭野会長参加のミャンマー・ハイレベル諸宗教使節団が会合 アウンサンスーチー国家顧問に書簡手渡す
5月23日の会合には、米国やトルコ、ノルウェーなど17カ国と欧州連合(EU)の大使やその代理、国連開発計画(UNDP)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国連人口基金(UNFPA)、ユニセフといった国連機関の代表を含む約100人が参加した。
『ミャンマーの平和と発展への諸宗教による展望』をテーマにしたセッション1では、民族や宗教、性別にかかわらず貧しい子供たちの教育に取り組むミャンマー上座部仏教僧侶のサヤドウ・ウ・ナリャカ師と、ボー枢機卿が、平和を実現するには慈悲や愛を持って人と関わることが大切であるとし、紛争の原因となっている教育システムの不備、自己開発や教育の機会が全ての人に行き届いていない状況を変えていく必要性を訴えた。また、ミャンマーイスラームセンターのアル・ハッジ・ウ・エ・ルウィン理事長は、多民族・多宗教が共存してきたこの地域一帯の歴史に触れながら、現在は宗教が政治的に利用され、それによってイスラームが敵視されている状況があると指摘。諸宗教の信徒の声に耳を傾け、対話によって誤解を解いていくことが不可欠と訴えた。
一方、テラ大僧正はスリランカでの和解の取り組みに言及した上で、「憎しみは憎しみによって消えることはない」として、相手の尊厳を認める宗教的な智慧(ちえ)に基づく生き方の実践を呼び掛けた。庭野会長は多様性が、豊かさ、相互理解、創造的発展、持続可能な平和に結びついていくと強調し、法華経に示された「地涌(じゆ)の菩薩」の生き方を紹介。青少年に対して慈悲と寛容の精神を基にした平和教育が大事であると話した。スタルセット師は、排他主義が暴力を生んでいるとの見解を示し、全ての人の権利を保障すると同時に、一人ひとりが生活の場で寛容の精神を発揮していくことが平和構築につながると述べた。
この後、『紛争転換と平和構築に向けた諸宗教による行動』『持続可能な開発を促進する諸宗教による行動』などをテーマに四つのセッションが行われた。