全てが尊いと説いた釈尊、その生誕の意義かみしめる「降誕会」が全国で
釈尊の誕生を祝う「降誕会」が4月8日、立正佼成会の大聖堂(東京・杉並区)で行われた。
当日、大聖堂の聖壇には、草花を飾った花御堂(はなみどう)が設けられた。式典には、国内外から会員約3800人が参集。読経供養では、導師をつとめた庭野光祥次代会長が、庭野日鑛会長の啓白文を奏上し、花御堂に安置された誕生仏の頭上にひしゃくで甘茶を注ぐ灌仏(かんぶつ)を行った。この後、稚児総代の幼児が稚児讃歎(さんたん)文を読み上げ、佼成育子園の園児15人が、「きれいなお花」の曲に合わせて遊戯を披露した。
続いて、武生教会青年婦人部長(38)が体験説法に立ち、病を患ったことで両親や夫など周囲の支え、思いやりによって生かされていると気づいた体験を発表。青年婦人部員と活動を始めた近況を紹介し、サンガ(教えの仲間)と信頼関係を育んでいきたいと語った。
聖壇の花御堂で灌仏した後、法話に立った庭野会長は、釈尊が誕生した時に唱えたとされる「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」の「誕生偈(たんじょうげ)」に言及。「天上天下」「唯我」「独尊」のそれぞれの言葉に触れ、全体として「果てしなく広い宇宙に存在する全てのものは皆、類のない尊い仏のいのちを具(そな)えているから尊い」という意味であると説明した。その上で、「現在の私たちの立場で味わってみますと、(誕生偈は)人間は誰もが独自の、それぞれに尊いいのちと心を持って生まれてきたと教えています。さらに、仏の教えに遇(あ)うことによって、私たちは自らの尊さに気づくことができ、自らの尊さに気づいてこそ、他の全てのものの尊さにも気づかせられるということを、誕生偈から読み取らせて頂くのです」と述べた。
また、釈尊の生涯を踏まえ、悩みや苦から人を救うために釈尊が説いた「四諦(苦諦=くたい、集諦=しったい、滅諦=めったい、道諦=どうたい)の法門」に触れ、人間の生活は苦に満ちていることを明らかにする「苦諦」、その苦の本質は執着であるとさとる「集諦」、苦の原因である執着をなくす「滅諦」、そのための実践を説く「道諦」を解説。仏教徒として、四諦の法門の実践に努めるとともに、変化してやまないこの世の諸行無常(しょぎょうむじょう)を認識し、自らを含めたあらゆる人、全ての物事の尊さに気づいて合掌礼拝(らいはい)していくことが大切と強調した。
式典終了後、佼成雅楽会の奏者を先導に大聖堂から一乗宝塔まで、94人の稚児が「おねり供養」を行った。
この日を中心に、全国の各教会でも式典が開かれたほか、地元の商店街、福祉施設、寺社などに花御堂を設置し、甘茶接待、稚児行列などを行い、市民に「花まつり」をPRするとともに釈尊降誕の意義を伝えた。