創立80周年記念式典祝辞 カトリック長崎大司教・髙見三明師

しかし、開祖さまの「後半生を決定する出会いになった」のは、今から53年前、第二バチカン公会議に特別オブザーバーとして招待されたことでした。カトリック教会では、1700年ほど前から、キリストの教えとその実践に関わる重大な事項について、全世界の司教が参集して80年に1回の割合で公会議を開催してきました。第二バチカン公会議は21回目の公会議で、1962年から1965年までバチカンで開催され、開祖さまは、1965年9月14日、第四会期の開会式に出席されました。

開祖さまは9月15日、時の教皇パウロ六世の私的謁見(えっけん)を受け、教皇から次のような言葉を掛けられました。「今や、人類という言葉は隣人という言葉と等しい時代になりました。キリスト教徒が仏教徒のために祈り、仏教徒がキリスト教徒のために祈って互いに協力し合うのでなければ、宗教が世界の平和に貢献することはできません。それ以外に道はないのです」と。

その時のことを、開祖さまは自著の中で、宗教は、「人びとの心に平安をもたらし、世界に平和をもたらすために存在するものだ(中略)。これまで、私が繰り返し繰り返し自分に言い聞かせ、人びとに語ってきたことが間違っていなかったことを、私はローマ教皇に証明して頂けた思いだった」と述懐しておられます。第二バチカン公会議を通して知った諸宗教対話に関するカトリックの考え方が、開祖さまの信念と使命感に火をつけたと言えるのではないでしょうか。

諸宗教対話でまず大切なことは、他の宗教に対する尊敬もさることながら、可能な限り互いによく知り、理解することであると思います。開祖さまは崇高な理念を掲げるだけでなく、それを具体化するため、「日本宗教連盟」や「比叡山宗教サミット」にとどまらず、「世界宗教者平和会議」や「アジア宗教者平和会議」の創設と運営に中心的な役割を果たされました。

宗教の本来の存在意義と平和構築の使命に関する開祖さまの理念と実践は、日鑛さまに確実に引き継がれており、さらに次期会長の光祥さまに受け継がれようとしております。日敬開祖さまと日鑛さま、立正佼成会を支えておられる方々のご功績に深い敬意を表しますと共に、今後益々のご健勝をお祈りし、諸宗教対話と世界平和のためになお一層ご尽力くださるよう祈念いたします。
(文責在編集部)

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