千葉教会で憲法学習会 憲法学者・長谷部早稲田大教授を講師に迎え

衆議院が解散され、「憲法改正」が争点の一つに挙げられる中、日本国憲法の意義を改めて学ぶため、立正佼成会千葉教会で9月30日、「平和憲法学習会――未来につなごう平和憲法」が行われた。当日は、長谷部恭男早稲田大学教授が『立憲主義と憲法改正論議』をテーマに講演。会員はじめ、国会議員、地方議員20人を含む550人が参加した。

同教会ではこれまで、壮年部や青年部のリーダーらを中心に、憲法学習会を実施してきた。講演の中で長谷部氏は、立憲主義に触れ、政治権力を制限するという広義と、「近代立憲主義」といわれる狭義の違いを説明。近代立憲主義は、より民主的な社会をつくるため、市民の多様な価値観を尊重することが前提になっていると解説した。

そのため、日本国憲法は、攻撃を受けても反撃を一切認めないとする完全非暴力の考え方ではなく、他国から攻撃の可能性が否定できない現状では、国民の生命を守る備えとして個別的自衛権を有する「穏和な平和主義」を採用していると述べた。

その上で、「憲法改正」をめぐる論点の一つの9条への自衛隊の明記に言及。これまで未記載ではあるものの、その存在は合憲とされており、記載することで自衛隊の存在、その活動内容と範囲を国民に説明する政府の責任(立証責任)が果たされなくなるとの問題点を示した。

また、自民党の改憲草案にある「緊急事態条項」に触れ、政府が判断する発動の要件があいまいで、その上、内閣だけで政令を無制限に制定し、法改正できてしまう危険性を指摘した。このほか、高等教育の無償化などについて解説した。

参加した壮年部員(58)は、「さまざまな価値観を認めるという近代立憲主義の精神は、法華経に通じるものだと感じました。今後も継続して学び、平和憲法の大切さを家庭や地域で伝え、選挙にも臨みたい」と語った。

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