TKWO――音楽とともにある人生♪ トランペット・河原史弥さん Vol.2
小学5年生からトランペットを始めた河原さんは、「自分はトランペット奏者として、どこまでできるのだろうか」という探求心を原動力にして歩んできた。Vol.2では、東京佼成ウインドオーケストラ(TKWO)との出合いや、入団から5年目を迎えた現在の心境、コンサートに臨む際の自身との向き合い方を紹介する。
入団歴を重ねて
――佼成ウインドとの出合いはいつですか?
演奏とは直接関係がないのですが、大学1、2年生の頃、先輩に勧められて、佼成ウインドの裏方「ボウヤ」のアルバイトをしていました。演奏会の舞台のセッティングや片付けが仕事です。事務所の方とは、アルバイト中に一緒に仕事をするだけでなく、作業の後に食事に行くことがあったので、佼成ウインドのオーディションを受けた時に、楽団員よりも裏方を担っている人たちに親しみがありました。
――入団して今年で5年目ですね
だいぶ、心が落ち着いてきたというのが率直な思いですね。大学4年生の9月から入り、試雇期間を経て卒業と同時に正式に入団したのですが、最初は、環境の変化に対応していくことで精いっぱいでした。1年目は特に、社会人として、プロの音楽家として自分には引き出しが何もないので、人との接し方、話し方から、練習の際のコミュニケーションや練習の取り組み方まで一つ一つ、先輩たちの様子をうかがい、見よう見まねで必死についていこうとしていました。
楽団には、それぞれにカラーがあり、演奏でも独特のテンポ感を持っていて、そうした佼成ウインドの個性を、まずはつかんでいこうとしていたんですね。
楽団員としての立ち居振る舞いや佼成ウインドならではの演奏中のテンポ感もつかめてきて、最近は、演奏で自分のカラーを出していきたいなと思っています。奏者の個性は音色に表れるのですが、最初はなるべく“自分”を出さないように、周囲に合わせることを優先していたんですね。
ただ、そればかりを続けていると、自分を出せずに気持ちは沈みますし、演奏スタイルも消極的になって楽しくなくなっていきますから、自分を出していくことも大事だと改めて思っています。もちろん、コンサートは集団で行うものなので、ハーモニーは壊さず、その上で、「自分だったら、もうちょっとこうやりたい」という部分をプラスアルファとして出していこうと、演奏に臨んでいます。