TKWO――音楽とともにある人生♪ 指揮・大井剛史さん Vol.2
夢の共演
――それから、三度目の出合いがあるわけですね?
はい。東京藝術大学を卒業し、仙台フィルハーモニー管弦楽団で副指揮者を務めた後、再び、東京で活動をしていた頃のことです。
お世話になっていた先輩が時折、佼成ウインドの指揮を務めていて、私は、ぜひ練習や本番を見せてほしいとお願いしたのです。それが許され、会場に足を運ぶと、事務局のスタッフの方から声を掛けられ2003年に立正佼成会の大聖堂で行われた式典で3回、佼成ウインドを指揮したのです。自分が佼成ウインドでタクトを振れるなんて想像もしていなかったので、とてもうれしかったですね。
ちょうどこの時期、佼成ウインドでは指揮研究員を募集していました。指揮研究員というのは、定期演奏会をはじめ各種演奏会のアシスタント、さらに特別演奏会、音楽教室、録音などの際に指揮を行う者のことです。僕はオーディションを受けに行ったのですが、会場には研究員志望の指揮者が何十人も受けに来ていました。僕はすでに大聖堂での式典で振っていましたから、佼成ウインドとの触れ合いはあったものの、この時は一次予選で不合格となりました。いわば敗退したのです。それからしばらくは、佼成ウインドとのご縁はないまま、時が過ぎていきました。
プロフィル
おおい・たけし 1974年、東京都生まれ。17歳より松尾葉子氏に師事し指揮法を学ぶ。東京藝術大学指揮科、同大学院指揮専攻を修了。仙台フィルハーモニー管弦楽団副指揮者(2000~01年)、ニューフィルハーモニーオーケストラ千葉=現・千葉交響楽団=常任指揮者(09~16年)、山形交響楽団指揮者および正指揮者(09~17年)を歴任。チェコ・フィルハーモニー管弦楽団で研修。アントニオ・ペドロッティ国際指揮者コンクール第2位入賞。現在、東京藝術大学音楽学部器楽科非常勤講師(吹奏楽)、尚美ミュージックカレッジ専門学校客員教授でもある。