TKWO――音楽とともにある人生♪ アルトサクソフォン・林田祐和さん Vol.1

中学生の時に受けた衝撃、そして感動

――18年間、一途に夢を追い続けたのですね

はい。大学を卒業してからは、「音楽以外のバイトは絶対にしない」をポリシーに、洗足学園音楽大学の講師の傍ら、フリーの奏者として活動しました。プロを目指す演奏家には、同じようなポリシーを持って、夢を追っている人はいますが、特にサクソフォン奏者は多いですね。

僕は大学を卒業してすぐに結婚したのですが、音楽だけに専念するというポリシーを、ずっと変わらぬまま持ち続け、プロになることができました。今思えば、本当に無鉄砲な計画だったと思います。しかし、当時は、家族を支えるために、演奏家として何が何でもプロにという思いだけで、前だけを向いていました。

佼成ウインドとの関わりは、大学2年生の時にバリトンサクソフォンのオーディションに出たのがきっかけです。オーディションには落ちてしまいましたが、その後、エキストラとして呼んで頂けるようになり、演奏に携わるようになりました。当時の佼成ウインドでは、大学の先生でもあるアルトサクソフォン奏者の須川展也さんがコンサートマスターをされていました。

須川さんが退団して数年後に、アルトサクソフォンのオーディションが行われることを知りました。「チャンスだ!」と思って、オーディションに挑戦し、無事に入団が決まったのです。

――佼成ウインドの公式サイトに、「初めて聴いたTKWOの演奏は、中学時代の自分に衝撃と感動を与えてくれました」とあります。そのことについて詳しく教えてください

僕が通っていた中学校の音楽室には、コンクールの課題曲だけでなく、さまざまな佼成ウインドのCDがたくさんありました。それは吹奏楽部の顧問の先生が、以前、佼成ウインドの楽団員だったトランペット奏者の林和雄さんの後輩だったからです。林さんに憧れていた先生は佼成ウインドが大好きで、よく僕たちに聴かせてくれました。それで僕も大好きになって、よく、勝手にCDを借りていました(笑)。

実際に、佼成ウインドの生の演奏を聴いたのは、それからしばらく経ってのことです。生まれ育った宮崎で佼成ウインドの演奏会が行われることになり、舞台の下手側、サクソフォンパートが目の前に来る、最前列に座りました。こんな至近距離に、憧れの佼成ウインドのサクソフォン奏者がいる――全体の音のバランスなんて、その時は考えられなくて、ただただ、目の前にいるサクソフォンの奏者だけを見ていました。その華麗な姿と演奏に僕は衝撃を受け、とても感動しました。本当はそのサクソフォン奏者が輝いて見えるのは、他の楽器があってこそなんですが、その時は本当にサクソフォンしか目に入らなかったんですよね。

プロフィル

はやしだ・ひろかず 1981年、宮崎・日向市生まれ。東京藝術大学大学院を卒業。「クローバー・サクソフォン・クヮルテット」のソプラノサクソフォン奏者として、キングレコードより「CLOVER」、「Precious」(レコード芸術特選盤、音楽の友推薦盤、読売新聞特選盤)をリリースした。2005年に第22回日本管打楽器コンクールで第1位に入賞している。