TKWO――音楽とともにある人生♪ アルトクラリネット・新井清史さん Vol.1
日本トップレベルの吹奏楽団として知られる東京佼成ウインドオーケストラ(TKWO)。演奏会をはじめ、ラジオやテレビ出演など、多方面で活躍する。また長年、全日本吹奏楽コンクールの課題曲の参考演奏を行っていることから、特にコンクールを目指す中学生・高校生の憧れの存在でもある。時に彼らの演奏指導にも取り組んでいる。本企画の第3回はアルトクラリネット奏者の新井清史さん。トランペットからクラリネットに持ち替えた経緯や、クラリネット一筋と決意した“ある出来事”を語る。
楽器を吹き“モテたい”
――吹奏楽を始めたのはいつですか
中学校の部活紹介で吹奏楽部の演奏を聴いた時、<トランペットは華があって格好いい。女子にもてそうだ>と直感し、入部してトランペットを吹くようになりました。最初は全く音が出ず、本当に苦労しました。先輩以外に教えてくれる人もいなかったので、とにかく見よう見まねで毎日トランペットを吹き、半年ぐらいしてようやく良い音が出るようになりました。
うまくなれば女子にモテる――もう、その心意気だけでしたね(笑)。曲が少し吹けるようになると面白さが増し、のめり込みました。
――今はクラリネットですが、いつ変わったのですか?
クラリネットを吹きたいと思ったのは、中学3年生の冬にジャズ映画の「ベニイ・グッドマン物語」を見たのがきっかけです。映画の中で、好きな女性になかなか告白できずにいた主人公が、クラリネットの演奏で愛を伝えるというシーンがありました。それを見た瞬間、<これはやるしかない>と思い、高校に入ってクラリネットに転向しました。
ただ、トランペット奏者が入部してくると期待していた高校の先輩たちは、「クラリネット吹くの?」とがっかりしていましたね。
人からよく、途中で楽器を転向したことに驚かれますが、二つの楽器が吹けると、人気者になれるとの考えもあったのです。高校の文化祭では毎年、第一部でクラシック、第二部でポップスが演奏されるのですが、そこで、第一部ではクラリネット、第二部ではトランペットを吹きました。両方の楽器を演奏できたことで、高校の3年間は思惑通り、女子の人気もそれなりに得ることができましたね(笑)。でも、高校3年の文化祭後に起きた出来事を機に、クラリネット一筋でいこうと決めました。