「全ての人の幸せ」目指し、互いに精進を 日蓮宗管長・菅野日彰師

また私は40年ほど前、病を患い佼成病院で入院生活を送っていた時期があります。その時、新宗教であり、一人ひとりの心を仏道へと導く立正佼成会とはどのようなものかを学ばせて頂きたいと、病院の礼拝堂で行われる朝のお勤めに参加し、訓読のお経を一緒に読誦(どくじゅ)させて頂いたことがございます。大聖堂にも参拝をさせて頂きました。今、それ以来のご縁を頂戴(ちょうだい)し、皆さんにお祝いの言葉を述べさせて頂いております。

これまで私は、曹洞宗大本山の永平寺(福井県)で1カ月にわたり坐禅の勉強をするなど、仏教の各宗派の教義や修行について学んでまいりました。また、キリスト教など他宗教の教団にも、お招きを頂く機会がございます。そうした中で感じるのは、宗教が最終的に説くところは「全ての人の幸せ」であるということです。そのことに気づかせて頂けた原点は、約40年前のご縁にあったと感じ、今改めて思い返しているところでございます。

最後になりますが、私は日蓮宗宗立谷中学寮の寮監を約30年、務めさせて頂きました。その中で心がけ、今も大切にしているのは、「やって見せ 言って聞かせて させてみせ 褒めてやらねば 人は動かじ」という言葉の最後を、「先に立たねば 人は動かじ」と言い換え、実践することです。朝は一番早くに起きる。勤行では一番先に立ってお経をあげる。何をするにも、貫首が先頭に立っていることが大事だと思うのです。

本日、お集まりの皆さま方の後ろ姿を通して、尊いみ教えや信仰の喜びが多くの人たちに広がっていきますことをお祈り申し上げまして、私のお祝いの言葉を終わらせて頂きます。ありがとうございました。

(2月17日、立正佼成会大聖堂での東京西支教区教会発足60周年記念式典の祝辞から。文責在記者)

プロフィル

かんの にっしょう 1937年、北海道生まれ。12歳の時、小樽市の日蓮宗妙龍寺で出家得度。立正大学卒業。同宗専任布教師として日本各地への伝道に従事した後、「日蓮宗宗立谷中学寮」(東京・台東区)の寮監を約30年務めた。その後、総本山身延山久遠寺(山梨・身延町)布教部長、本山海長寺(静岡市)貫首などを歴任。2015年から同宗大本山池上本門寺(大田区)の貫首を務める。18年、五十四代日蓮宗管長に就任。

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