核兵器全面的廃絶のために NPO法人「ガイア・イニアシアティブ」代表・野中ともよ氏

相手の考え方は自分と違う、許せないと思った時は、相手も自分のことを許し難いものです。だったら、どうやって許しますか。線を引きますか。いいえ、対立しないで解決していきましょう。その最も基本的なことを“よい加減な力の按排(あんばい)”でできる文化が私たちにはあるのです。

人と人との関係で使う「おかげさまで」。相手から、何のおかげも頂いてないのだけれども、「どうですか。お元気ですか。仕事はどう」という投げ掛けに、「いや、おかげさまで」って応えます。「そうやって気に掛けてくれるあなたがいてくれるおかげさまでね」みたいな言葉で、よい加減で相手と接する。そのよい加減さが、21世紀を生きる根源だと思います。対立思考を抱かないように、または対立の関係を変えていく時に、とても必要なことです。

そして、もう一つ。世界で問題となっている事柄の考え方を“チェンジ”するのではなく、ちょっと“シフト”して考えてみてはいかがでしょうか。物事を判断する際に、「お金」の価値から「命」の価値へシフトしてみる。勝ち負けや強弱にこだわる男性的な考え方ではなく、相手を受容する女性的な、柔和な考え方にちょっとシフト。そうやって、笑顔で、全ての命がイキイキと生きていける世界を広げていきましょう。

(9月23日、国連大学で行われた「核兵器の全面的廃絶のための国際デー」記念イベントから)

プロフィル

のなか・ともよ 1954年、東京都生まれ。上智大学大学院文学研究科前期博士課程修了。NHK、テレビ東京等で番組メーンキャスターを務めた後、アサヒビール、三洋電機、ニッポン放送などで役員を務める。また、財政制度審議会、中央教育審議会など政府審議会委員を歴任。現在は、2007年8月に立ち上げたにNPO法人「ガイア・イニシアティブ」代表として地球環境・エネルギー問題と地域活性化に取り組む。