【認定NPO法人妊娠SOS新宿理事長・佐藤初美さん】「誰にも言えない」性暴力被害 徹底的に寄り添う支援の在り方

「嫌なことは嫌」と言える強さを、大事にしてほしい

――被害に苦しむ女性に対し、周りにいる私たちにできることはありますか

自分の周りで心配な人がいる場合、私たちは親切心から、つい「大丈夫?」と声をかけがちですが、それが被害女性の口を閉ざす場合もあります。これは、家庭内で虐待に遭い、私たちの支援を受けた女の子が教えてくれたことです。「学校の先生も児童相談所の人も、みんな私に『大丈夫?』って聞いてくる。『大丈夫です』としか言いようがないから、困ったことがあっても話せない」と。

そうした時は、「顔色良くないけど、どこか具合悪いの?」「ご飯食べてる?」などと具体的に尋ねてみてください。相手の人も、自分の悩みを言語化しやすくなるはずです。

性暴力に悩んでいる女性には、「嫌なことは嫌」と言える強さを、とても大事にしてほしいです。幼児期や学校教育の中では、嫌と言うと頭ごなしに怒られたり、否定されたりします。ですが、ちゃんと意思表示することで、相手もなぜ目の前の人が嫌だと思ったのかを考え始めます。そうやって、私たち一人ひとりが他者の立場に立って気持ちを想像することができれば、今よりもう少し、痛みを抱えた女性たちに優しい社会になるのでは、そう思います。

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プロフィル

さとう・はつみ 1953年、愛媛県生まれ。75年から東京・新宿区の保育園に勤務し、乳幼児保育に34年間従事。その後、同区立子ども総合センター相談員として、虐待対応や養育困難な家庭の支援に携わる。2016年、妊娠SOS新宿を設立。子供の命と人権を守ることを願いに、相談事業のほか、講演や研修活動も多数行う。共著に『発達がわかれば子どもが見える』(ぎょうせい)など。