【中央大学理工学部教授・山田正さん】突然起こる自然災害 防災に対する意識の転換を

福岡、大分両県を中心に九州北部を襲った集中豪雨、太平洋上を迷走した台風5号、8月下旬まで続いた長雨と、気象に関するニュースが続いている。また、近年、短時間で大量の雨が降る現象“ゲリラ豪雨”が頻発している。自然界で今、何が起こっているのか。水文・水資源学の第一人者で、中央大学理工学部教授の山田正氏に聞いた。

自然災害は、いつ、どこでも起こり得る

――今夏、各地で局地的な集中豪雨が発生するなど、自然災害が多発しました

近年、各地で大規模な水災害が頻発しています。関東・東北豪雨(2015年)による鬼怒川の氾濫をはじめ、昨夏は、北海道に次々と台風が襲来しました。そして、今年7月に発生した九州北部豪雨では、大量の流木や土砂がふもとの集落を襲い、多数の死者や安否不明者が出るなど甚大な被害をもたらしています。

また、世界的に見ても、ミャンマーのサイクロン、アメリカのハリケーン「カトリーナ」などによる自然災害、渇水、水質汚濁などが起こっています。

大量の雨をもたらす気象要因として、低気圧、前線、台風などが考えられますが、最近では、短時間で大量に降り注ぐ“ゲリラ豪雨”や積乱雲が次々と発生し、同じ場所で大雨が続く「線状降水帯」が目立つようになってきました。

――線状降水帯とはどのようなものですか

積乱雲の集合体が次々と発生して帯状に連なり、豪雨をもたらす気象現象のことで、九州北部豪雨でもこの現象が確認されています。

九州の場合、南下した梅雨前線に南西から湿った空気が流れ込み、線状降水帯が複数形成されて雨雲が停滞し、大量の雨が降り続いたのです。福岡県朝倉市では、24時間の雨量が約800~1000ミリ近くまで達していたことが分かりました。そのため、上流域に土砂崩れが起き、なぎ倒された木々が川の流れに乗って下流へ運ばれ、大量の流木が橋などに詰まって川の流れをせき止め、被害を拡大させてしまったのです。

さらに、筑後川の支流が至る所であふれたことも、被害を拡大させた要因でした。この支流は、5年前の九州北部豪雨の際も決壊し、その時の教訓から、県は支流の川底掘削など対策を進めてきました。しかし、今回はそれをはるかに上回る雨量だったのです。今や豪雨災害は、いつどこでも起こり得るものと言っても過言ではありません。

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