立正佼成会 庭野日鑛会長 7月の法話から

7月に大聖堂で行われた式典から、庭野日鑛会長の法話を抜粋しました。(文責在編集部)

互いに合掌し合うのは……

私たちはなぜ、礼(れい)をするのでしょう。「吾(われ)によって汝(なんじ)を礼(らい)す。汝によって吾を礼す」という言葉があります。お互いに人間としての敬意を表すのが、礼をするということです。

私たちは、礼とは、人に合掌する、仏さまに合掌することだと思っています。しかし、結局、人を合掌することによって、また人さまもこちらを合掌してくださいます。お互いに合掌し合う――それが大切なことだと教えられているのです。
(7月1日)

苦の原因は

人間の悩みは、自分の思い通りにならないいろいろな物事を、「自分の思い通りにしたい」と思うことから生じます。特に、自分以外のことに対して、社会が悪いとか、世の中が悪いとか、つい言いたくなりますが、いくら社会が悪い、世の中が悪いと言ってみたところで、どうにもなりません。まず、そうした思いをなくし、自らをととのえることが一番大事です。

『法句経』に、仏さまの肝心要(かんじんかなめ)のお言葉があります。

「おのれこそ おのれのよるべ
 おのれをおきて 誰によるべぞ
 よく調(ととの)えしおのれにこそ
 まこと得がたき よるべをぞ獲(え)ん」

私たちは、お互いに世の中をよくしたいと考えていますが、一方、皆が煩悩を持っています。仏教では、人間の誰もが持ち、お釈迦さまも持っておられた煩悩を断つのではなく、よく己(おのれ)をととのえる、煩悩をととのえることが大切であると説かれています。それでこそ、自分をよるべとすることができるということであります。
(7月1日)

不平不満を言わずに

私たちは、太陽やお月さま、また地球の自然、宇宙のあらゆるもののおかげさまで生かされています。

そうした因縁、縁起の中で今、こうして生かされているわけですから、普段の生活の中で、宇宙に対して不平不満、愚痴、泣き言、悪口、文句を言わないことが肝要です。また、人に向かっても不平不満、愚痴、泣き言、悪口、文句を投げかけないことです。

もっと、太陽が朝、昇ってくるあの美しさ、素晴らしさ、そういうところに注目をしていきたいものです。太陽が昇る美しさに比べたら、何ものも敵(かな)わないといわれています。そうした美しさ、楽しさに気づいて、美しいものを賛美する気持ちをいつも持っていることが大切です。
(7月1日)

夏を乗り切る

7月になりました。日本でも今年は6月のうちから、気温が40度になる所もあります。

気温が高いのは大変なことに違いありませんが、お日さまのおかげさまで生かされている者にとっては、本来、文句を言うことではありません。「40度だ」と言うことにとどめておいて、「暑い」とは言わない。「暑い」と言ってしまうと、やっぱり文句を言ってしまうことになります。ですから、「どこどこは40度になった」「きょうは36度くらいまでいくのではないか」といったように、数字を口にするのはいいのですけれども、「暑い」と言わない、文句を言わない。

「おかげさまで生かされている」という気持ちを持ち、感謝しながら7月、これからの8月を過ごしていきたいと思います。
(7月1日)

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