立正佼成会 庭野日鑛会長 4月の法話から

森羅万象が釈尊の悟りに通じる

道元禅師の歌を紹介します。

「峰の色 渓(たに)のひびきも 皆ながら わが釈迦牟尼の 声とすがたと」

山(峰)の色、これも秋の紅葉(もみじ)ですかね、春の今は緑ですけれども。山の色、谷川の音も皆、我が釈尊のお声とお姿に他ならないという意味合いが込められています。

大乗仏教では、「人間釈尊」ではなく、釈尊が悟られた目に見えない「法」を人格化し「法身(ほっしん)」として信仰します。森羅万象(しんらばんしょう)の諸法を釈尊の悟りの象徴として仰(あお)ぐということです。

そうなると、紅葉がきれいになったこと、あるいは谷川の水の音が聞こえてくること、そういう自然そのものが釈尊のお声なのだという捉(とら)え方もできるわけです。釈尊の教えを頂けたことそのものが有り難いことであり、その教えが多くの方々に広まることによって、戦争のない世界、安らかな調和の世界を目指していきたいと、私たちは精進させて頂いています。降誕会にあたって、そうしたことをしっかりと心に納めながら、精進していきたいと思います。
(4月8日)

画・茨木 祥之

いくつになっても成長できる

京都大学総長を務められた平澤興(ひらさわ・こう)先生が、このように述べられています。

「七十五、六歳から八十五、六歳までが人間が一番伸びる時です」「八十になっても九十になっても、人間の成長はこれからです」「生きる限り成長することです。それはあらゆるものに手を合わせて拝んでゆくことです」

平澤先生は、九十歳まで生きられた方です。その方が「七十五、六歳から八十五、六歳までが人間が一番伸びる時です」と述べられていますから、私は今、その中にいると思っています。皆さんも、こうした先輩の素晴らしい言葉を受け入れて、年だからとへこたれずに、お互いに頑張っていきましょう。
(4月15日)