立正佼成会 庭野日鑛会長 4月の法話から

4月に行われた大聖堂での式典を中心に、庭野日鑛会長の法話を抜粋してまとめました。

(文責在編集部)

人情を超えた諸法実相

『花は咲く咲く常住(じょうじゅう)実相、花は散る散る常住実相』

こういう言葉があるそうです。花がどんどん咲くのも実相、大自然のありのままの相(すがた)ということでしょうか。そして、花が散っていくのもありのままの相。咲くのも、散るのも実相だということです。

私たち人間は、花が咲くことを歓迎しますが、散ることは好みません。「惜しい」という人情、心情を持っています。しかし、天地自然の道理では、そういう人情に関わりなく、花は咲いて、散っていきます。

こういう言葉もあります。

『花は愛惜(あいせき)にちり、草は棄嫌(きけん)にお(生)ふるのみなり』

花は惜しまれて散っていく、そして草は嫌われて生えてくる。畑などに草が生えると、草むしりをしなければなりませんから、これも人情、心情です。

大自然は、そんなことお構いなしに、花が咲いたり、散ったり、あるいは草が生えたりします。人間特有の人情、心情というものがあるわけですが、大自然の実相、諸法の実相、ありのままの相は、そういう人情とは関係なく展開しているのです。

開祖さまの三つの教え

開祖さまが教えてくださることは、完結にまとめると三つに絞られます。まず佼成会は「親孝行」の教えなのだと、ご指導くださっています。これは、子供である私たちが親を喜ばせることが大事であるということです。

次は「先祖供養」。これは、ご先祖さまを喜ばせるということになります。三番目は「菩薩行」になります。自分が悟りを得たいと思うと同時に、他の人も救いたいと菩提心を発(おこ)していくというのですから、世の人々を喜ばせることに当たります。

こうしたことを踏まえて、学林の生活をスタートさせてください。

(立正佼成会の教育機関「学林」の入林式から)

自分の容姿に文句を言わない

今日は脇祖さまのご命日でございます。ご命日にあたり、自分のいのちを見つめてみたいと思います。

仏教には、生き物を殺さないという殺生戒(せっしょうかい)があります。この殺生戒について大乗仏教では、単に生き物を殺さないということにとどまらないと教えています。それは、どういうことでしょうか。

私たちはお互いに今、人間としていのちを頂いていますが、私たちは自分の姿、形に対して文句を言いがちです。そういう文句を言わないことが殺生戒であり、自分のいのちを大事にすることになります。

ですから、授かったいのちの良し悪しを言うことは殺生戒を犯し、自分のいのちを無駄にすることにあたります。授かったいのちを十分に生かしていきましょう、というのが大乗の殺生戒の意味であります。これは一人ひとりが自然に会得(えとく)していくしかありません。皆、自分の責任であります。

画・茨木 祥之

世間一般のかりそめものを剥ぎ取る

大乗仏教には「悉有仏性(しつうぶっしょう)」という教えがあります。全ての人が仏性であり、人だけでなく宇宙のあらゆるいのちが全て仏性であると説かれています。自分のいのちは、自身の努力だけででき上がっているものではないとも教えて頂いています。そして、私たちが、世間一般のかりそめのもの、一時限りのものを剥ぎ取ってしまっても残るものをつかみなさいと教えています。

例えば、教会では「部長」「支部長」「教会長」、会社などでも「部長」「社長」、私も「会長」ということでありますが、そうしたかりそめのものを剥ぎ取って残るものを、つかみなさいというのです。いのちが、いかに大切なものであるかということをつかんで、よく生かしていきなさいというのが殺生戒の意味であります。

お地蔵さまに見る仏の心

私は、よく教育者の東井義雄先生の話をさせて頂きますが、お地蔵さまについて、こんなことをおっしゃっています。

お地蔵様にあいさつしようとしたとき、ハッとした。お地蔵様は私が手を合わせるよりさきに、私に手を合わせていらっしゃる。拝むものだけを拝まれているのではない。
お地蔵様は、さっさと素通りしていく者、他人の悪口を大声でしゃべりながらいく者も、拝みつづけていらっしゃるのだ。 ※1

お地蔵さまは、いつも、どんな人も拝んでいらっしゃるといわれています。普通は、拝む者を拝む――合掌礼拝(らいはい)ということで、私たちは、お互いに合掌し合います。しかし、お地蔵さまは、いつも拝んでいらっしゃるといわれるのです。さらに、お地蔵さまをお参りしようとしない、素通りしてしまうような人、人の悪口を大声でしゃべっている人にも、合掌されるということです。ここに仏さまの心と申しましょうか、そうした大切なことが述べられています。

※1 引用元 『東井義雄一日一言 いのちの言葉』(東井義雄著、米田啓祐・西村徹編、致知出版社)