年頭法話 立正佼成会会長 庭野日鑛

創造的に生きる志を皆が宿している それに気づき、発揮するだけでいい

本会発祥の地・修養道場で

ただ、この「創造」という言葉は、一般的に、あまり身近な印象を持たれていないようです。辞書を引くと、「それまでなかったものを初めてつくり出すこと」とあります。これでは、ハードルが高いと思ってしまう人がいても仕方がないのかもしれません。

私は、「創造」ということを、もっと身近に捉えています。草木が一日一日、わずかずつ生長していくように、「朝のあいさつができるようになった」「こんなことに気づけた」「昨日より成長できた」――これが、一人ひとりにとっての「創造」なのだと思います。

そもそも人間には、現状に甘えずに、もっと成長をしたい、発展をしたいという心が、皆にあるといわれています。そして、少しでも高く、尊い、大いなる存在に向かっていこうという本能も、皆が持っているとされています。

言い換えれば、誰もがすでに、創造的に生きる志を心中に宿しているのであり、それに気づき、発揮するだけでいい、ということであります。

「志」という文字は、「十」の下に「一」があり、その下に「心」があります。「十」は、たくさんある人間の欲求、欲望(心)を表していて、「一」は、それを一つにまとめるという意味があります。

ああしたい、こうしたいと心が散漫になっていると、なかなか前に進むことができません。まずは目標を一つに絞り込んで、集中して取り組むことが大切ということです。

一つの目標に精いっぱい力を注ぎ、それが達成できたら、また新たな目標に挑戦する。その繰り返しが、いわば、私たちにとっての維新――絶えざる創造――ということなのであります。

【次ページ:「人を植える」という命題に 全力を尽くすことが、私たちの務め】