内藤麻里子の文芸観察(25)
名古屋出入国在留管理局の施設で、スリランカ人の女性が亡くなったのは2021年3月のこと。ずっと体調不良を訴えていたにもかかわらず、放っておかれた末の死だった。死亡事件はほかに何件も発生しているだけでなく、長期にわたる不当な収容、難民申請の驚くほど低い認定率など入管をめぐるニュースはたびたび耳にしてきた。中島京子さんの『やさしい猫』(中央公論新社)は、そんな現状に一石を投じる長編小説だ。
名古屋出入国在留管理局の施設で、スリランカ人の女性が亡くなったのは2021年3月のこと。ずっと体調不良を訴えていたにもかかわらず、放っておかれた末の死だった。死亡事件はほかに何件も発生しているだけでなく、長期にわたる不当な収容、難民申請の驚くほど低い認定率など入管をめぐるニュースはたびたび耳にしてきた。中島京子さんの『やさしい猫』(中央公論新社)は、そんな現状に一石を投じる長編小説だ。